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4.共助型ソフト戦略

(図35)
今度はソフトの話です。ソフトはなかなかうまくいってないんですが、これからやろうということです。外国人を呼んで、地域防災のトレーニングをやってもらいたい。今おもしろいことが起きています。有楽町の電気ビルの北館の二十何階に外国人特派員クラブというのがあります。そこに日本の情報を流す外国人が全部集まっています。その連中が全然こういうことを知らなかった。そこへ僕のグループの誰かが、たまたま外国人特派員クラブのアソシエートメンバーで入っていて、「こんなことを今、丸の内でやっているんだ」と言ったら、「おれは何も知らないよ」と。一番重要なのは、外国へ発信する情報は外国人特派員クラブが握っているわけです。「それなら、大・丸・有や新宿でやっているような話を外国人特派員クラブの人たちに情報提供するから、つき合ってくれ」といったら、「つき合う」という。おまけに今度は外国人特派員の記者連中を、多分、三菱地所さんだと思うんですが、バスに乗せて、丸の内の熱供給の現場を見せたり、避難訓練をやっている場所を見せたり、そういうふうにして、あそこで目に見えないけれども日本人の連中が隣組の活動をやっているところをずっと見てもらう。とりあえずスタートとして、そんなことをやっています。できたら、それのつながりを厚くしていきます。
これは個人的な感想なんですが、外国人記者クラブの連中はあまり金がないんです。アメリカ人だけでなくて、インド人もいるし、パキスタン人もいるので、そういう金がない連中に三井不動産や三菱地所が安い金利でワンルームマンションを神田あたりで提供したら喜ぶのではないか。そんなこともやって、とにかく先ほど言ったように、外国人にきちっとした情報を提供する。そうしない限り、とんでもない記事を書くんです。絶対それは避けなければいけない。日ごろのつき合いが大事だ。外国人特派員クラブは、ほとんどつき合いはないけれども、僕もメンバーになっているので、そこと交流することにしました。
あとは、企業の中で、フィリピンの言葉を話す人や、英語以外の特殊な人たちにもこういうソフトな防災隣組のトレーニングをやるときに来てもらって、少し外国語の人と話すような訓練をやってもらいたい。
それから、ビジターの中でも年寄りでたどたどしく歩いている人がいますから、そういう人には手取り足取り、安心なところに連れていく。こういうソフトを企業集団でやる必要がある。大・丸・有がスタートなんですが、これは多分飯田橋でもやっていると思うし、新宿でもこれから始めるはずです。企業集団としてこういうことをやるのは、先程の政策投資銀行にも役に立つ。政策投資銀行が防災対応の低利息融資をやるそうです。もともと利息は低いんだから、大して安くないんですが、政投銀は威張っています。それでこういうことに必要なお金を、大した額ではないですが、借りると銀行は威張るし、地域の企業集団が社会に発信するのもおもしろいのではないかということです。
(図36)
外国人帰宅困難者訓練。これをやっているんです。
(図37)
英語版のサイトを立ち上げた。帰宅困難者啓蒙情報。これもだんだん広げていきます。Tokyo Central Station Commuters Corps Informations。

 

5.緊急になすべき方策

(図38)
東京都や国に向けてのPRです。特定都市再生緊急整備地域の指定を申し出る。これだけのことをやるんだから、新宿周辺、渋谷周辺、品川田町周辺、東京都心・臨界地域を特定の緊急整備地にしてほしい。ソフトの仕事をやっているし、地域冷暖房の効率は世界一良い。地冷は物すごくいい。KDDIがWiFiをここでやっています。日産自動車が電気自動車をここで相当具体的なことをやっています。大・丸・有はソフトで、先程の通り外国人向けにやっています。こんなことをやっているんだから、支援しろという話です。これは半年ぐらい前のPR版です。
(図39)
これは11月30日に出た都庁の答えです。わかったということです。何かやってくれるんです。法人事業税の地方税分2.4%を減免する。そうすると、7%が特区法を適用後、5.62、これから2.4だから、3%ぐらい。法人事業税は結構効きます。こういう税の優遇をやるでしょう。
それから、皆さんご存じのように、新しい資産を取得したら固定資産税や都市計画税を減免する。高い災対応力・エネルギー自立化、こういうことに具体的に貢献したら、容積アップをやります。これは森ビルさんなんか、無性にうれしいのではじゃないでしょうか。三菱地所はあまりおもしろくない。ということで、ここでも容積率緩和をする。これぐらいしか役人は手がないものですから、こんなことをやるということを11月30日にいい始めました。
(図40)
(図41) 
これは僕の個人的な話です。今のように商業地域の500%ぐらいを全部防火地域にするのではなくて、山手線の中全部を防火地域にして、山手線内部は木造の建物をつくるのをやめてくださいと言おうと思っているんです。そうしないと、どうしても小さいところで何十カ所も燃えて手間暇かかるんです。
もっと重要なのは、昨日の学術会議で言ったんです。東京首都直下のことばかりいっているけれども、東海・東南海・南海は30年確率で、東海が85%、東南海が70%、南海が60%なんです。首都直下と同じぐらいのレベルで危ないのではないか。一番危ないのはどこかというと名古屋なんです。名古屋は、昭和34年に伊勢湾台風が来て7000人死にました。そのとき悲劇がいっぱい起きた。鍋田干拓の悲劇なんかあった。農業土木の堤防と建設省の河川域の堤防の2つがつながっていたので、農業土木の堤防が全部やられた。そこから水が入って、鍋田干拓にいた農民が全部死んでしまったんです。当時名古屋はラワン材でベニヤをつくっていましたから、ラワンの丸太がいっぱいプカプカ浮かんでいたのが、庄内川と天白川のゼロメートル地域に水が入って、丸太が建物を直撃して全部つぶしました。それで1000人以上死にました。
津波被害は、海岸地形からいくと、東京湾と伊勢湾台風と大阪湾では、伊勢湾が一番やばいんです。次が東京湾で、3番目が大阪湾です。伊勢湾をどうするか。名古屋の市街地は港湾地域から名古屋の駅まで真っ平らです。そこをやられてしまうんです。そこのところをどうするかというのは、先程の避難ビルではありませんが、津波の波に耐えられるように、あそこは全部耐震化しなければいけない。それしかない。名古屋に全面的にそういうことをやらせるためには、まず東京で範を垂れろ。東京で山手線の中だけは絶対燃やさないということで、容積率に関係なく全部防火地域にしてくれという提案をしました。
(図42)
(図43)
その他の課題。これは早稲田大学の濱田先生がテレビでやっていました。側方流動、埋立地の護岸が横にずれて崩れちゃって海の水が入ってくる。そういうことがあると、大変なことになる。実際に3.11のときに千葉製油所が燃えました。あれも側方流動でタンクが動いて、中の摩擦で熱が出て火が出た。濱田先生は、この埋立地は全部やばいと言っています。それを全部耐震護岸にしたら何兆円もかかる。問題意識としてはそういうこともきちっと頭に入れておく。そうでないと、ここで燃え出すと船舶が浦賀水道を通れなくなる。船が入れないと、補給するものが入れられなくなる。学校の教師の脅しというのはすごいものです。いわれれば「なるほどな」というんです。だけど、役人はそこまで考えていません。考えていませんが、単に埋立地の製油所とか企業の敷地がだめになるほかに、こういうところから出た油が海面で燃えると船が通れなくなって、ここは全部飢え死んでしまうということのほうが社会的に見ると大事だということを濱田さんはいいました。
落としどころはそううまくいかないと思うんですが、こんな問題が結構大事な話です。
(図44)
最後は、飯田橋を何とかやりたいというので苦労しています。文京区を何とか説得しようとすると、一方で千代田区は我関せずです。深刻なのは文京区と新宿区です。千代田区は中央線の南側でこっちですから、あそこはほっぽっといていいんです。
ちょうど5時になりましたので、これでおしまいにします。(拍手)


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