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いいたいことは、建物の危険度5と書いてあります。建物を500メートルメッシュで考えてください。500メートルメッシュで危険度5で建物が倒れるのは、300戸の家があったとしても30戸か20戸です。1割から5%。それに対して、燃える町は、300戸のうち、危険度5だと150戸は燃える。オーダーが違うんです。ですから、建物のロスは火災危険度で見るほうがいい。全体として喪失家屋といったときはこれが重要になってくる。
もう一回いいますが、やばい山の手の赤と青の地域というのは何とかつぶしていかないと、総体としての建物喪失量は減らない。
(図17)
「倒れないまち」では、川向こうの赤いところをつぶしていきたい。
(図18)
これから少しデザインの話になります。何をいっているかといいますと、都心の中で、先程いったように、一時帰宅困難があっても快適に避難してしばらくいれる、もう1つプラスアルファでいいますと、単に帰宅困難ではなくて、将来は帰宅困難していた人にも、都心の中にもっと快適で安い集合住宅供給をやっていくべきではないか。そうすると、帰らなくて済む。その試みを丸の内で僕はポツポツ始めようかと思っています。環状4号の沿道は、広場があって、その間にちょっとした道があるんです。イメージとして一番いいのは、環状4号線や環状3号線の一部の割合質のいい緑のあるところを全部結びつけて小さい散歩道をつくる。散歩道をつくっていって、グルッと回って、気がつくと川まで出られる。こういう散歩道ができそうな感じもするんです。これが都市計画のイメージです。そうすると、この道の周りにマンションを建てるのは悪くない。地震のときに何が起きるかというと、グルッと回って逃げる道を探すとか荷物を運ぶ場合、環状の道路が必要なんですね。これはそんなに大きい貨物トラックが入るのではないけれど、散歩道を人が逃げながら情報交換をしたり、気がついたら江戸川沿いにずっと逃げ出していくとか、上野の谷中の墓地からこっちに逃げる。そういう逃げるルートを選択できるのが環状道路。どこに行ったらいいか。こういう環状道路に、現在ある公園や大学の緑をつなぐ散歩道をつくっていく。そうするといろいろ避難の選択ができるだろう。もちろんそれにプラスするのは、外側のところに歩道がきちっとありますから、そこも避難利用するようにしたいということです。
(図19)
ここからは、ますます夢が広がっていきます。先ほどいった散歩道沿いに小ぶりなマンションをつくって第二防御ラインとして、外側から来た人も、ここの散歩道のところまで来るとホッとして、ここで水も飲めるし、食物もある。ちょっとした寝る場所を見つけることができるというふうにしておく。第一防御ラインは、外堀なんです。外堀には病院や学校がありますから、病院や学校を利用して、ここにいる一時帰宅困難者のための休む場所、避難所をつくる。第一防御ラインは中にいる人たちが地震のときに安全に安心してしばらく居住できるような場所を外堀通りラインにつくっていく。理科大や法政大学なんかは一番カッコいい避難所になる。順天堂や東京医科歯科などのああいう病院は外国人にも対応できるし、けがした人を運ぶのにもいいと思うんです。この辺に慈恵医大。慶応義塾大はちょっとこっちです。こちらのほうは外側から来た人をここで受けとめて、食べ物、水、寝るところを供給する。そういう場所にして、こういうやり方で都心の安全性を守るとしたらどうかなと、こんな話を組み立てました。
(図20)
あとは情報です。長周期の話があります。情報提供です。平成12年の国土交通省告示。速度応答スペクトルというのは強さと周期です。1秒ぐらいの周期と後はずっと同じ強さでいっています。これは有名な話です。2003年十勝沖(苫小牧)のときには、長周期の5秒から9秒ぐらいのゆっくりした揺れがジワジワと起きてきて、国土交通告示の応答スペクトルを超えた。周期は長いんですが、スペクトル強度が強くてそれがずっと上に上がっていって、ここで何が起きたかというと、有名な十勝沖の石油タンクがつぶれて火災が起きた。いずれ長周期対応の設計のやり方も考えてほしい。何をいいたいかというと、都心部はどうしても超高層を建てるわけですから、十勝沖で見たように、長周期対策も超高層の中に入れてくれれば都心部の防災対策はより安全になるということです。
(図21) 
川のほうでも河川局が心配し過ぎでどうしようもないんですが、荒川破堤、鐘ケ淵のところで荒川がだめになるということをずっと想定していました。隅田川にずっと流れてきて、内水河川のカミソリ堤防が切れますと、平井から南で2メートル以上つかる。津波どころの騒ぎではないかもしれません。やばいところなんだそうです。これが荒川破堤です。
もう1つ、こちらから入ってくる水です。これは隅田川が荒川と一緒になったところ、外郭環状より中の新河岸川がある辺、ここで切れて入ってきます。これは幸いなことに、江東区はドボドボになるんですが、中央区と千代田区はちょっと盛り上がっていて、50センチ未満ぐらいで、そう深刻ではない。一番深刻なのは墨田区と江東区。これはあちこちにある荒川浸水想定区域を再掲しただけです。
(図22)
浸水予想。これは細かい話ですから、いいでしょう。
(図23) 
急傾斜地崩壊。これは意外と重要です。先ほどの予想でも、東京では急傾斜地が約6000個から8000個ぐらいあるんですが、僕は急傾斜地のがけ崩れはもっと大きくなると思う。地盤が緩んでいきますから、地震の直後はすぐにがけ崩れが起きなくても、余震その他が入ってきますと、必ずこういうところは崩れてきます。一番大変なのは港区です。港区のがけ崩れは相当大変です。文京区も結構崩れます。
首都圏の想定では横須賀はすごい。5万カ所から6万か所ぐらい。東京湾北部の津波が、震源が大島あたりに出ますと、ずっと久里浜の水道のところに押し寄せてきて、波が高くなり、横須賀がやられてしまうんです。おまけに横須賀はがけ崩れで、がけから建物がこぼれて、下からは津波で洗われる。



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