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2.国際対応型高度防災計画の方針

(図9)
それでどうするかというと、東京の地域防災計画、昼間人口に対しても地区内残留地区を決めました。前の都市再生緊急整備地域で定めた場所と大体同じです。一時帰宅困難者については、地区内残留地区にとどまってほしい。地区内残留地区というのは、万が一火災が発生しても、地区内に大規模な延焼火災のおそれがないから、広域的な避難を要しない区域。大きい公園に行かなくもビルの周りに残っていいよ、それだけなんです。そういうことを決めてあります。だったら、地区内残留地区の防災性能を上げるということが大事ではないかということです。それに最近の外国人の話やオフィスワーカーの快適性の話、オフィスそのものの性能をバックアップする、そういうことも入れて、この地区内残留地区を対象にした防災計画を考えてみようということにしました。
そこで、何をやるかというと、まず、お医者さん、水、電源、情報、この4つの要素をなるべく速やかに、途切れることなく継続的に、地区内残留地区に供給することができるようにする。3日間といっているんですが、できれば1週間ぐらいは備蓄やお医者さんのDMATみたいなものを継続できることにしようということ。外国人の生活も一生懸命考えて、外国人のお医者さんや情報、子弟教育なども、この地区内残留地区で対応できるように考えていこう。それから、ソフトでは自主防災組織で防災隣組などによるトレーニングをする。
これで去年の夏ぐらいから役人もDCP(District Continuity Plan)ということを書き始めました。4~5年前から民間の一部でDCPと言っていたんですが、書き始めました。それから、「防災隣組」という言葉も新聞に出るようになりました。隣組というのは、戦争中の隣組はけしからぬ、やめろと言っていたんですが、あんなのはもう忘れていいんです。地域連携組織というより「隣組」のほうがずっと響きがいい。
(図10)
地域分散型システムと書いてあります。これはガス屋さんがいたので、ガスも入れて、一言でいうと、電気のループとガスのループと両方必ず入れる。例えば飯田橋のどうしようもないロータリーの交差点から100メートルの範囲の中、日建設計もありますが、ああいうところでは1つの地域が例えば400ヘクタールぐらいあって、そこにビルが仮に6個ぐらいあったとして、その6個が1ユニットになって、必ずそこに電力とガスのネットワークが入る。ガスは、中圧管があれば絶対大丈夫ですと威張っているんです。DCPの中圧管網で1万~5万キロワットのコジェネ発電。5万キロワットの中圧管でできるかというとできないと思うんですが、5万キロワットというのは電力の大口契約の1単位だそうです。電気屋が今いないので、ガス屋の話をしています。電力事業者は5万キロワットぐらいにしておいて、その下請でガス屋がコジェネやいろいろ使って24時間安定供給をする。そういう話です。二重ループです。
(図11)
「発災時の外国人の安心確保」。これは難しいんです。外国人の観光客や私事行動者の安心を確保するためにどうしたらいいかというと、長丁場なんですが、1つは、民間、例えば丸の内の大・丸・有協議会や、今新宿でやっている協議会、森ビルの六本木ヒルズ系などに企業連合体が何らかの形で隣組のようなものをつくって、中国語や英語で、「今あそこに行けば中国の人が固まっていますよ」「あそこへ行けば大使館の人が来ていますよ」、そういう情報を提供する。物すごく重要なんです。これはかなり時間がかかります。
それから、お医者さんです。外国語対応の防災医療体制。ボツボツ始めたのはご存じの三菱地所で、今度の再開発で聖路加看護をどこかに持っていくんです。聖路加を持っていくと、あそこは外国語もできるお医者さんがいるからうまくいくだろう。できたら新宿も、西口の東京医大が、聖路加と同じように、ブランチオフィス、例えば工学院のビルにきちっとしたトリアージでもできるようなものをつくって、そこに中国語も話せるような看護婦でもいれば、ぐっと外国語対応の防災医療体制ができます。
それから、浜松町もそうですね。慈恵医大に外国人の先生がいて、そういう人を浜松町のDCPに利用すれば、そこで医療体制ができる。物すごく難しいんですが、こういう話を去年の9月に新宿でやりました。東京医大の先生方や工学院の先生も来て、実際に地震のときに医療をどういう場所を使ってやるかということを議論しました。工学院大学で、患者さんに赤札、青札、黄札をつけて、トリアージの練習をしました。ですから、ポツポツ始まり出しています。
それから、留学生・外国人教員が増加します。これは学校ですから、何とかやってくれるでしょう。若者ですから、そんなに手がかからない。
もう1つ僕たちが勉強して出てきたのは、環4の周りに、一生懸命働いてもたいした給料もらえない外国人がいます。そういう人でも住める余り高くない賃料のマンションをできたらここにつくりたい。そこに日本人の若者にも入ってもらう。そうすれば、ここに住んでいる人がいなくなったときは、真ん中の六本木でも新橋でもいい、こういうところまでバックアップで助けてくれる。もう1つ、神田もねらっているんです。神田も非常にいい町です。こういうところに一たん地震が起きたときに、若くて体力があって頭の回る若者、日本人だけでなくて外国人も、歩いて駆けつけてくれる場所をつくろう。これが都心外周の環3・環4を軸として、住宅をつくれば周りに木も植えるでしょうから、少し緑っぽくなるだろう、という話です。これをDCPバックアップ住宅にする。DCPはどこかというと、飯田橋もあるし、お茶の水、神田、四谷もある。そういうところにできる。

 

 

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