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フリーディスカッション

 どなたか質問のある方はお手を挙げてください。

伊藤(㈱三菱地所設計) いろいろリスクの話を教えていただいて大変参考になりました。
インターネット網の対災害性というあたりが、核戦争でも大丈夫みたいな話でなおざりになっているのではないかなというところに心配があります。日本のインターネット網というのはスター型の構造をしていて、東京に全部集中している。そこに大規模な災害が起きたときに、電源を喪失する、またはケーブルが切れるということになると、中枢の脳幹をやられてしまうような状況です。幾らかは、メッシュトポロジーという名前らしいんですが、分散化を民間のデータセンターを使ってやられているようなんです。それがどの程度、対災害性があるかということについては、それぞれの会社次第ということになっています。
片一方では、先ほどの帰宅困難者のいろいろなシステムをみんなインターネットを前提にしていたり、企業のBCP対応もデータセンターのデータをクラウドデータセンターに乗せたほうがいいのではないかということで、かなり当てにしている部分がある。その部分が通信事業者のブラックボックスの中に入っているということはわかるんですが、日本全体のネットワークの中枢を東京が抱えていて、そこが大規模災害、核戦争以上の大きなダメージをこうむり得るというところに立地しているところに議論が始まってもいいのではないかなと思っています。その辺のことについて、先生のご意見をお願いします。

伊藤 僕は単純に考えまして、一時帰宅困難者問題で、亭主が電話してもお話し中でつながらなくて両方がヒステリー状態になっているのが一番不幸なので、つながるという、それぐらいのことをやってもらうというのが実は水よりお手洗いよりもお医者さんより重要ではないかと。それさえあれば、僕が今いったことはかなり省力化できる。それを考えていたのが1点です。
2点目は、ケーブルテレビがありますが、ケーブルテレビを第2優先電話にする。事業の担当人事課長や営業部長は必ず第2電話として、昔の鉄道電話ですが、ケーブルネットワークを使う。僕はそれを丸の内から自宅まで持っています。ほとんど使ってないんですが、いよいよの時は使える。そういうものを企業の中で、これはキーマンだという人に全部使わせたらどうかという話までしていましたが、今のインターネットの話は初めて聞きましたので、勉強します。参上しますから、是非いいお話を聞かせてください。どうもありがとうございました。

太田(NPO法人サインセンター) いいお話を本日はありがとうございました。
先ほどの先生のスライドの一番最後にありましたが、私は、ソフトの開発として避難誘導の仕組み、具体的に申しますと、この建物の非常口の誘導灯や屋外の避難場所、そういうデザインで三十数年、各省庁にかかわってまいったんです。

伊藤 物すごく表示はよくなったようですね。

太田(NPO法人サインセンター) 昨年の3月11日でそれが役立たなくなった。その理由は各省庁の縦割りで、横にはりを渡すような手だてがないと、複合災害には、ただ津波だ、ただ地震だといって縦割りでは難しいのではないかという気持ちを持たざるを得なくなった。
そこで質問です。中央防災会議は、外から見ますと、各省庁の力を束ねようとしていますか。
伊藤 御殿女中のようなもので全然だめ。

太田(NPO法人サインセンター) そうじゃないんですか。それを伺いたいと思ったんです。

伊藤 あれは御殿女中で、実行力、腕力を持って何かやれというのではないんです。中央防災会議は情報の整理はいいんですが、実行力は全然ありません。だから、昨日の学術会議でも、国家が実力を持って、一たん緩急がある時は一種の21世紀型戒厳令のようなものを敷いてやるような組織が設置できるという法律をつくりなさいと言ったんです。
例えば東日本大震災や東海・東南海のときはそれが必要なんですが、中越だと大体うまくいくんです。中越や能登や水害はそんなことしなくても、県庁の連合が非常にうまくやった。防災会議抜きで国交省がつながってやるんです。そういうレベルの地震ではない。まさに巨大災害。中央防災会議なんて御殿女中みたいなことを言っているのではなくて、その時に初めて使える、国家が主導する実行力のある法律をつくれと言っています。それは100年に1回の伝家の宝刀かもしれないけれども、あるとないとで全然違うんです。東日本大震災の場合に、それがあればスピードが全然速くなる。
一番いい例を挙げると、土地のこと。今1筆1筆、この土地は誰が持っていて、地形がどうの、土地はどういうふうになっているか測量して、地主を固定して、そこへ連絡して「あんたの土地を買いますけど、オーケーですか、ノーですか」となっている。それを何万筆とやらなければいけないけど、けらないと、まちづくりができない。そんなことをやめて、何百年に1度の伝家の宝刀を抜いたら、土地の値段は後で相談するとして、まず地域と指定して、国家が全部仕事をやってしまう。値段については仕事をやりながら相談しよう。1億2000万人で、まさに皆さんの土地が、全国で3300万筆あるんです。田畑、宅地、森林、放牧、雑種地、100万筆ぐらいずつ今増えているんです。そんな国で、土地のそれぞれの個人の承諾を得ながら、まとめていくなんてことはできっこない。それが一番の障害なんです。そういう法律でつくっておいて、まさに100年に1回の時に閊えと、そういうことです。

 よろしいですか。どうもありがとうございました。(拍手)
本日はどうもありがとうございました。以上をもちまして、本フォーラムを終了させていただきます。
(了)

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