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1.計画の目標

(図4)
本題に戻ります。
(図5)
これは僕たちがやっている勉強会で去年の秋に発表したものです。三菱地所の新丸ビルで発表しました。この中の何人かはお聞きになっていたのではないかと想像しますので、同じ材料を使ってちょっと違う話をします。
一番初めに提案したいのは、首都直下について、マグニチュード9ぐらいの震度7で揺れるということを前提にして考えないといけないだろうということです。4つ書いたのは、総合特区の話があって、東京もそのメンバーに入りたいというので、アジアのゲートウエーとか何か、わかったようなわからないようなもっともらしい話を入れているからです。滑り込みで東京も6番目に入ったんです。それをバックアップするような感じにしています。僕たちの勉強会はそういう性格を持っています。防災のことは重要なんだ、防災については、我々のやっている勉強会が民間では一番だから、それを皆さんにお披露目するというので、お役所の人も来てもらった説明会でこれを出したんです。3番目の「夜間人口対応型防災から外国人・都心活動層対応を加え国際業務都心対応型防災に転換」。これについて、ささやかだけど、ある程度の提案をしています。
一番下は、東京電力がやられてしまいましたので、東京電力に頼るのではなくて、もう少し民間ノウハウを活用して防災エネルギー対策を促進することも考えよう。
(図6)
(図7)
これはおなじみの話です。ミュンヘン再保険。これについては勘定の仕方を変えようということで議論をし始めています。「災害危険性」「都市の脆弱性」「危険にさらされる経済的価値」を掛け算してみると、東京710、ロサンジェルス100、ニューヨーク42、ロンドン30となっています。数字が大きい方が良くない。この710を下げるためにはどうしたらいいか。「災害危険性」は変えられませんから、「都市の脆弱性」を変えよう。「危険にさらされる経済的価値」、これは具体的にいうと、経済集積が大きければ大きいほど危険性が高くなるんですが、片っ方でBCPをやっている。BCP対応で企業が守る、自衛力を持つと、10を5ぐらいにしていいんです。最近は政策投資銀行も、企業が防災にお金を出す価値というのは、単に無駄なお金ではなくて、集積すれば東京や大阪の災害係数を下げることで国際的な経済的価値ができるとして、低利の融資をするといって威張っています。政投銀がいうと、民間銀行が言うよりは、「あ、そうかな」と思いますね。BCPが東京でやられて半分になれば、途端に350になる。さらに都市の脆弱性の7を3ぐらいにするとまた下がって350が半分の175。災害危険性は変えられないけれども、これで頑張ろう。これがソフトの企業努力で、これが公的な、あるいは再開発ということでこの数字を下げていく。掛け算ですから、どうしてもこういうふうになるんです。そんなことで少し議論してこの数字をつくってみようかということを今考えています。
(図8)
次は、「都心で外国人・昼間人口・来訪者・帰宅困難者対策が重要」とありますが、これは去年の半年、声高くやっていました。和泉洋人さんのやっている内閣官房の地域活性化本部でも、昼間人口の一時帰宅困難者に対して、それなりの対応をする場所については、地区の防災計画をやる。DCP(District Continuity Plan)。そういうことをやったところにはそれなりの税金の免除や、場合によっては容積率の割り増しをするという話を非公式ですが、かなり公式的にラッパを吹き始めました。その話は去年の11月ぐらいから我々の耳に入ってきています。DCPで、昼間人口、外国人、ビジターの帰宅困難者対策をやる。
ついでに申し上げますと、地域防災計画を千代田区、中央区、杉並区もつくっています。地域防災計画には、そこに住んでいる人が被害を受けた時にどこに避難したらいいかを記述している。千代田区でどこかの小学校を避難拠点にすると、そこは、杓子定規にいうと千代田区民の人たちが入るところで、一時帰宅困難者を第一にしたものではございませんという役人の答弁になっているんです。それは考えてみると、馬鹿な話です。千代田区は夜間人口がせいぜい2万人か3万人しかいない。それに対して昼間人口が、多分70~80万人。港区もそうです。港区は夜間人口が高いほうですが、中央区もそうです。
避難区域というのを東京都が指定しています。そこも杓子定規に考えれば、その地域社会に住んでいる夜間人口が逃げ込む場所で、昼間人口は直接的な対象とはしないということでずっと来ました。それはおかしいという話は前からあったんです。この間の3.11の時テレビで新宿駅南口がごった返しているのを見て、考えてみると、こういう人たちが東京の経済的価値を上げている人なんだから、そういう連中を無駄に遊ばせないで、速やかに家に帰して、すぐまた戻ってきて仕事をさせる、そういうふうに一時帰宅困難者対策を円滑にやるほうが、国のためにはいいのではないかという話が出てくるわけです。
もう1つは、外国人、外国人と言っているけど、災害の時に外国人をどうしているのかというと、ほとんど何もやっていない。ようやくこの3.11で、三菱地所の方はおられるかな、丸の内の防災隣組で、英語でしゃべる人を派遣して、あそこに一時帰宅困難の場所がありますよということを地所を中心したところがやったぐらいで、あとはやっていないんですよ。これは日本人の通性なんですが、こんなこともある。
都心3区は、夜間人口が27万で、昼間人口は240万。これは直接のデータではないんですが、外国人労働者も最近は増えてきています。そういう話です。

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