街区

街区レベルの認証

認証制度には建築物レベルの評価システムだけではなく、街区レベルを対象とした認証システムもあります。これらのシステムでは開発プロジェクトの立地や敷地の計画、コミュニティ、生物多様性、レジリエンスなどの取り組みを幅広く評価することができます。

各制度の普及状況

建築レベルに比べいずれも件数は少ないですが、新規開発のミクストユース街区において取得される傾向にあります。

LEED ND

LEED NDは2009年より運用が開始された、街区の都市計画・開発の環境配慮基準を評価するシステムで、地域全体の資産価値の向上、エネルギー使用量の低減、維持管理費など自治体の財政負担削減、市民の意識改革によるコミュニティの活性化などを目的として評価項目が構成されています。最新バージョンv4の評価項目は5つのカテゴリーに分類され、各カテゴリーには必須項目と加点項目が設けられています。LEED NDでは計画～建設工事（75%未満完成）段階のプロジェクトを評価する「Letter of Support」、「Plan」と完成間近～過去3年以内に完成したプロジェクトを評価する「Built」の2つの認証システムが用意されています。v4における国内取得プロジェクトでは、最高ランクのプラチナが最も多くなっています。

LEED for Cities and Communities

LEED for Cities and communitiesは、2019年に開始したLEED v4.1で新たに登場した都市・街区を対象とした評価システムです。｢都市｣や｢コミュニティ｣を対象に、人々のクオリティ・オブ・ライフ（QOL：生活の質）向上を目的とする認証システムで、SDGsへの対応や、カーボンニュートラル、スマートテクノロジー、循環型経済などの推進をサポートします。認証は「プラン＆デザイン（Plan and Design）」と「既存（Existing）」の２種類が設けられています。

評価カテゴリーは9つに分かれ、13の必須項目と26の加点項目で構成されています。

WELL community

WELL communityは健康とウェルネスに特化して街区・地域規模を評価する認証システムであり、建物の空間だけではなく、パブリックスペースなども含めたコミュニティによる健康とウェルネスの促進を目的としています。WELL Communityを申請する場合はプロジェクトの中で、1つ以上の建物が指定された健康建築認証※を取得している必要があります。

CASBEE-街区

CASBEE-街区はある一定規模の開発を対象に、単体建築物ではなく建築群としての環境性能を評価する認証システムです。評価されるプロジェクトに仮想の境界を設定し、評価指標は仮想境界内部の環境品質（QUD：環境、社会、経済のトリプルボトムライン）と、仮想境界の外側に対する環境負荷（LUD：低炭素化の努力）で構成され、街区に関わる環境効率（BEEUD）で評価されます。区域の設定は原則としてプロジェクトの計画・整備に適応される各種法令、制度、手法等で定められた計画区域・事業区域等とします。 

Fitwel community /Commercial site

Fitwel community / commercial siteはFitwelの認証システムのうち、街区レベルに適応できるスコアカードを指します。12の評価項目が設定されており、プロジェクトの立地、敷地のアクセスなど、建物レベルと共通の評価項目がある他、屋外空間やオープンスペースの設計、運用、建物のエントランスの設計などの評価項目が含められています。