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14.大陸と繋がることで発想転換

(図84)
朝鮮半島を介して、日本が韓国、中国と鉄道陸路で直結する時代を早急に実現させ、日本の未来戦略を考えるときが来ました。高成長から巡航速度の成長へと移行する中国や人口が減少する韓国と日本が鉄道で直結することにより新時代をつくる。悲観論ばかりが喧伝される時代に、朝鮮半島と中国大陸とに正面から向き合う覚悟を固めるときです。こういうものをつくるということは、韓国と中国と正面から向き合う。本気で、ごまかさない。お互いにそうやったほうがいい、メリットが出てくるということです。


15.日韓の協力体制で世界戦略を

(図85)
戦後65年間、米国依存型の政治経済体制を当然のように考えてきましたが、これから先は、日本と韓国の協力が最重要課題だと思います。何度も言いますが、日本と韓国の仲が悪いということが、中国にとってもアメリカにとってもありがたいんです。日本と韓国が仲よくなれば、中国も、日本、韓国を無視できなくなる。アメリカも日本、韓国を無視できなくなる。日本と韓国が仲が悪いと、それぞれ別々にコントロールしていればいい。
オバマ政権は、米日、米中をてんびんにかけながら、東アジアとの政治経済体制を再構築する体制に入っています。
日本だけが、65年間の惰性の延長線上でアジア政策を考えているのでは勝負の外です。
アメリカと中国にまた裂きにされる前に、日韓協力体制を確立すること。何度も言いますが、アメリカが嫌い、中国が嫌いと言うのではなくて、反米でも反中でもない体制。自分の考えでお互いにいいところを生かし合うという自立した国家を目指していかなければならない時代になってしまいましたということであります。
(図86)
 

 

 

 

 

 

 

 


日本政府のアジア戦略というのが2010年にまとめられました。アジア経済との一体化。アジア内需の創造。アジア内循環で雇用創出。今日本が持っている技術は、今から発展していくアジアにとってはなくてはならない技術が圧倒的に多いんです。ここに挙げてあるようなことはどれも賢くかぎ分けて戦略的に運営していけばいいと思います。
(図87)
(図88)
(図89)
これは飛行機の中から撮った写真なので非常に見づらいかもしれません。仁川というのはソウルの外港です。物すごく大きい経済特区をつくっています。ちょっと前までは、こことイッピカイ(?)という山東半島の間に鉄道を敷いて、中国との経済の入り口にしようということが計画されましたが、今は中座しています。いずれにしても中国との交易の窓口ですから、物すごく大きな経済開発の途上です。
去年の3月、ヨーロッパから帰ってくるときに地震が起こって、日本で放射能が出ているからエールフランスは日本におりてくれなくて仁川におりました。パイロットが日本人にかわって日本に半日おくれで着けました。その時に、「あ、これが仁川の特別区か」と写真を撮った。東京湾の入り口のような大きな開発が今行われています。これは主に中国との交易と中国を仲立ちとする三角貿易の拠点として韓国が考えている開発です。日本の港や日本の開発は国内対応です。各県が同じようなものを一緒につくってしまう。世界に視野を開いて経済を考える時期に入ってきてしまいましたということの比較例です。

 


16.福岡⇔対馬⇔釜山

(図90)
日本経済を新規に活性化するためには、震災復興だけでは1~2年、3年~4年と短期間しかもちませんが、今後は西日本と九州鹿児島まで新幹線が直結して──西日本の経済はまあまあです。西日本の大阪から鹿児島まで幾ら人が行っても限界がありますが、福岡と韓国・釜山を直結すれば、東アジアが鉄道で直結することになり、新しい未来が見えてくると思います。戦争前から関門トンネルのようにトンネルを掘る話がありましたが、韓国が日本の領土であった時代もありますから、技術的には掘れるんです。でも、いろいろな政治的な問題で掘れなかった。今韓国と日本が協力すれば掘ることは可能です。
(図91)
対馬の一番先端から釜山の町並みが見えるんです。この間は49.5キロ。今の技術であれば簡単です。九州側に壱岐という島がありますから、直線にはなりませんが、壱岐で一回上がって壱岐から対馬をつないで、最長50キロぐらいのトンネルを3本掘れば大陸と陸続きになるんです。世界はそういう時代でしょう。

 


17.東アジアと共生する


18.日本がユーラシア大陸と繋がる

(図92)
ここをつなぐとヨーロッパまで気軽に行ける。飛行機の嫌いな人が狭い中に何時間もいるのではなく、途中下車も可能です。旧シルクロードをずっとたどっていく。最高の観光ルートができ上がっていき、世界最大の経済ルートがここにでき上がるということだと思います。
(図93)
今の中国の新幹線網です。これがヨーロッパまで行くんです。中国がやるんですから、日本ほど時間がかからない。皆さんのかなりの方が生きておられる間に実現します。もったいないでしょう。私は予言者めいたことを言いますが、ここをつくらなくなったのはいずれここができるからです。ここまで大阪から2時間半、ここからソウルまで2時間半です。日帰りです。このルートができなくて、こちら側からとしても、瀋陽、大連、北京。1泊2日で、飛行機を利用せずに途中下車しながら、多彩な旅だけでなくて、交易ができる。こういう開発が東アジアで行われて、これがヨーロッパにつながり、インドにも通じれば、黄金時代です。その黄金時代を迎えるアジアの隣にあって、日本人がどう生きるかということを是非考えていただきたいと思います。
予定の時間が過ぎましたので、このあたりで終わりたいと思います。(拍手)


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