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(図59)
ここを歩いている人も、10年前でしたら、まだ色彩も日本人と違うという感じでしたが、中国とわからないぐらい服装は近寄っております。これはヨーカードーです。ザラが入っていますが、これが伊勢丹です。伊勢丹の上には主に日本食の食堂が入っていて、それなりににぎわっておりました。
(図60)
都市めぐりでいうと最後になりますが、青島です。これは昔ドイツが占領していまして、ドイツがビール技術を教えたところです。今は青島ビールも日本のビール会社が買収したと思います。この青島という場所はオリンピックでヨット会場になったこともあります。非常に近代化が進んでいまして、プラダが入っているブランドショップもあります。中心街のオフィスビルです。
(図61)
これはこれからこういうものをつくりますという写真です。これがややモダンな新しいブランドが入っているブランドショップです。
(図62)
これは青島の古い中心街です。奥のほうに青島ビールを飲ませるような飲食街が、距離にして1キロぐらい続いています。中国人は共稼ぎの人が多いですから、朝も夜もみんなと一緒にこういうお店で食べることが多い。中国の小さなアパートでは台所がないものが結構あるらしいです。飲食街は大都会のみならず中小都市でもかなりにぎわっていますが、青島の飲食街は物すごくにぎわっていました。
これは旧オリンピック会場の周辺の開発です。これは室内型の飲食ゾーンで、上にささやかな映像が流れるような場所でした。
(図63)
日本橋ではありませんが、残すもの。先ほども言いましたが、中国は共産主義の時代がもう60年を超えました。共産主義であるからといって過去の中国の歴史を全面否定するものではないという時代に変わりました。ですから、文化遺産や自然遺産、歴史遺産はできるだけ大事にしよう。漢、唐、宗、明、それぞれ漢民族の王朝です。漢民族が王朝の時代の町あるいは遺跡はできるだけ復元しようとしている。あるいはほんの少し前は、共産主義でしたから、宗教的施設、特に仏教施設は冷遇されていましたが、最近は宗教的施設でも世界に誇れるようなものは復元して増強しています。そして、古戦場や三国志に出てくる場所のような歴史的出来事の現場も大事にしようとしている。国として成熟してきたということのあらわれだと思います。
新たにつくるものとしては、世界のデザイナーを駆り出して業務中心をつくっておりますし、ホテルなども、先ほど言いましたように5つ星ホテルのレベルは日本を超えている。美術館、博物館も立派につくっておりますし、スポーツ施設、新幹線と駅、高速道路、場所によっては4車線の高速道路があります。港湾施設、そして住宅。最近ではエコシティと言われる新環境都市。今世界で一番進んでいるものを取り入れるためのお金は、世界最高の3兆ドルを持っておりますので、世界で一番いいものを中国でつくろうという態勢を持ち始めました。中国全土で500のエコシティを建設計画中であります。
(図64)
冒頭も言いましたが、成長し成熟し始めた中国。10年前までは冷遇していた過去の歴史については、非常にクールに、自分たちで使えるものは使おう、自分たちの強みになるものは強みにしようというふうに変わってまいりました。
まちづくりのあり方についても、各所で、歴史的な遺産や町並みの復元に力を入れるようになりました。
そして、中国への観光客も、中国からの観光客も急増中です。今3000万人から4000万人、中国に観光客が訪れていると思います。いずれは世界一を目指すと言っています。今の世界一はフランスで、7000万人から8000万人の観光客を集めています。中国がその気になれば1億人ぐらい集めるようになるかもしれません。逆に、中国から外へ出ていく人の数も1億人になる可能性があります。そうすると、そのお客さんを毛嫌いして排除する時代ではありません。できるだけ中国からのいいお客さんは日本にも来てもらうようにしないといけない。そういう時代になりました。

 


5.超大国中国と超大国アメリカの間に存在する日本

(図65)
正直言って、中国はすでに経済大国になりました。今なったということです。今から10年、15年、20年の間に、より世界一に向かって進んでいきます。紆余曲折はあります。日本のマスコミあるいは日本の経済学者は、中国はだめになるよ、だめになるよということが大好きですが、何度もそう言われながら成長してきました。でも、先ほど言いましたように、まだ平均所得が4000ドルですから、伸びるわけです。4000ドルが2万ドルに行くまでは伸びて当然で、もう中国は終わりだよという人は、あなたの頭は終わっていますよということです。中国は日本に比べ物にならないほどの大国です。日本人のかすみを早くとらないといけない。日本人はアジアで最初に文明開化しましたが、国力で言えば中国に勝てるわけはありません。部分的にどこで勝負するかについては、日本人の知恵を絞って戦略を考えることだと思いますけれども、比べる相手ではありません。
中国という巨大国と米国という巨大国の間に存在する日本は、新しい時代を生き抜く発想の転換を迫られています。欧州大陸と英国の関係と同様に、地政学的な発想から、日本の次の時代の施策を考えるべきときであろうと思います。
(図66)
中国には光と影の部分があり、影の部分をしきりに言う人がいますし、確かに影も大きいですが、影は解消できる。光の部分は日本が追いつけないレベルに脱皮しようとしている。世界2位のGDPです。外貨準備は3兆2000億ドル。経済成長はいずれ8%とか7%のレベルに下がると思います。今のレベルでいえば9%ぐらいを維持しないと回らないと言われていますが、いずれにしても、この規模で10%近い成長をする、あるいは成長できる余力がまだあるということですから、無視できません。


6.中国経済の実像

(図67)
中国経済の実像についてお話します。中国は国家資本主義です。世界貿易の輸出シェアは1位です。2位は米国、3位日本。日本は1億2700万人ぐらいの人口の割にすごいですよ。12億人から14億人になろうとする国と、1億2000万人が1億人に減ろうとしている国。日本は発想を転換して、もう少しねらいを定め直せば、いい場所にあります。1番と2番の真ん中にあります。いずれ1番になる隣にある。中国は世界の輸入シェアは2位ですが、これもいずれ1位になるでしょう。世界最大の外貨準備、世界最大の自動車市場、携帯電話。12億もいれば当然です。
2012年3月の段階での会社の規模をあらわす時価総額ランキングでも、中国は4位に中国石油天然気、6位に中国工商銀行、7位に中国移動通信、25位に中国銀行、45位に中国石油化工、57位に中国海洋石油と、世界ランキングの大会社が6社もあります。



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