No.94 シリーズ "NSRIは何をしている会社?" 第6回

2015年08月04日

VIEW NSRIの組織体制と取り組み

本年1月より組織体制が再編され、以下の7つのグループ制となりました。

  • ZEB(低炭素建築) グループ
  • スマートシティ グループ
  • モビリティデザイン グループ
  • エネルギーマネジメント グループ
  • 都市政策 グループ
  • 都市開発 グループ
  • 海外・戦略 グループ

VIEWでは、88号から各グループの取り組み・サービスについてシリーズで紹介しています。
第6回は、スマートシティ グループの取り組み・サービスの紹介Vol.2です。

スマートシティグループのご紹介 Vol.2


スマートシティグループでは、下図に示すようなスマートシティを実現するためのコンセプトの構築から事業性の検討まで総合的な検討を行っています。今回は当グループの支援業務について日本・海外の事例をもとに紹介します。

図1 スマートシティを実現するための総合的検討プロセス

—国内における都市再開発に伴うスマートコミュニティの推進事業—

成熟した既成市街地の再開発に伴い環境性能の向上を図り、防災機能を兼ね備えたスマート化を目指して、事業モデルの構築に取り組んでいます。

都市再生緊急整備地域に指定された大阪ビジネスパークでは、スマート化の一環として地域内の企業が所有する自動車に着目し、EVの活用による環境性能と防災機能を兼ね備えたスマートコミュニティモデルを提案しました(図2)。また、実現に向けて、充放電器1台で5台が同時に充電できるシステム、スモールEMS及びEVの予約・課金システムを開発しました。EVの充放電を活用して、平常時の負荷の平準化(ピークシフト)、電力ピークカット、地域単位でのデマンドレスポンス(DR)、災害時のエネルギー供給を実現しています。実証実験では、電力会社をはじめ、デベロッパー、設計事務所、ゼネコン、設備メーカー等が参画し、地元の地方公共団体と大学を連携したビジネスモデルを展開しています。

図2 大阪ビジネスパークの取り組み

吹田操車場跡地では、新たな都市拠点として整備される国立循環器病研究センター、吹田市民病院等が立地する街区を対象に、地下水を活用した国内発一体的な熱源水ネットワーク構築を検討しています。環境性、防災性、経済性等を高めるための面的エネルギーシステムと地域EMSで構成されるスマートコミュニティモデルを提案しました。さらに、提案したモテルについて、事業の総合的な評価を行い、地域EMSと医療との連携及び周辺の民間開発地などを含めた地域全体エリアへの事業展開について検討しました。

図3 吹田操車場跡地スマートコミュニティ構想

—国際機関との連携によるスマートシティの海外展開—

NSRIでは、日本で積み重ねてきた技術・経験に加え、それぞれの国の文化、気候、社会、経済に応じたコンセプト、システム及び事業スキームを提案しています。

APEC Low Carbon Model Town(LCMT)プロジェクトでは、中国天津于家堡金融区(Phase1,2011)、タイサムイ島(Phase2,2012)、ペルーリマ市のサンボルハ地区(Phase4,2014)における、フィージビリティ•スタディを行いました。交通から地域エネルギーマネジメントも含めて各地域の特徴に応じた低炭素コンセプト、中長期ロードマップ、低炭素・スマート化技術について提案しました。さらに、実現に向けた事業計画、実行計画の策定事業も行っています。
タイサムイ島では、phase2のフィージビリティ•スタディの結果をもとに、スマートグリッド及びEVシステムの実行計画を策定しました(図4)。エネルギー消費量の高いホテルや病院が集中している地域を対象地とし、エネルギー利用実態と将来予測に基づいたスマートグリッドシステムの設計・検討を行うとともに、観光客や地元住民の行動形態を考慮したEVシステムの検討も行いました。事業採算性やビジネススキームも併せて提案しており、全島への展開を目指し引き続き検討を進めています。

図4 タイサムイ島におけるスマートグリッド及びEVシステムの実行計画


APECでは、APECエコノミーでの低炭素都市の啓発、普及および実現を目的とし、汎用的な評価指標の整備を進めています。NRSIでは、持続可能なまたは低炭素コミュニティ指標の国内外における展開状況を調査・分析した上で、複数のカテゴリーで構成されたAPEC Low Carbon Town Indicator(APEC LCT-I)を構築しています(図5)。

図5 APEC Low-Carbon Town Indicator

-EI&SCグローバルサミット2015-

エコアイランド・グローバルサミットは2012年に英国南端の ワイト島において第1回、2013年にデンマークのボルンホルム島で第2回会合が開催されました。今回、第3回として「エコアイランド&サスティナブルコミュニティ・グローバルサミット」を11月5,6日に沖縄で開催することを予定しています。

これまで、我が国の官・民が取組んできた「離島モデル」やサスティナブルコミュニティの様々な取り組みについて、国内外の政府関係者、専門家及び開発事業者とともに議論を行います。詳細は、EI & SC Global Summit 2015公式サイト<http://www.nikken-ri.com/eisc.html> を参照ください。