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緑がバイオマスの栽培地。丸い花車が風力発電。水力発電も可能です。例えば浪江のようなところにはもういられないという人たちには、第二の故郷をつくるつもりで除染した後、自分たちの村を2地域居住という形でつくるということを提案しています。現在は避難先という概念しかないのですが、避難先に20年も30年も住むということを考えると、それはおかしい。そこはもう避難先ではなくて、2つ目の居住地ですね。2つの地域とも自分の居住地という形で認めてもらわないといけない。そうすると、税金は二重に払うのかとか、いろんな問題がありますが、それは国との間で議論しながら進めていくことが必要です。NPOや地域の若い人たちと「ふくしま会議」ということを提案して、これを今、議論している最中です。
(図70)
これは南相馬市で、私が未来都市として提案したときの復興提案です。先ほど低炭素型の社会の都市をつくると言ったように、3つの地域の中心をつくって、それをBRTでつなぐとか、内陸との間に大きなインフラ道路をつくるなど、幾つかの提案を含んだ上で分散型のエネルギーをつくるという提案をしています。
(図71)

 

 

 

 

 

 

 

 


これが原町の中心市街地ですが、駐車場という名の空き地がたくさんあるのがわかります。そういうところの空き地を使って、浪江や小高、双葉から来ている人たちに入ってもらって、原町の人となって一緒にやろうという提案もしています。
もう1つの提案です。ご存じのように、福島県というのは浜通りと中通りと会津という3つの地区に分かれているわけですが、それぞれ全部縦方向の南北の軸の動線しかありませんでした。原発事故が起こると、この南北の動線は、浜通りに対しては、南相馬の南から下は全く不通の状態になっていますし、南相馬の北から新地のところが欠けていますので、ここから仙台のほうにも行けません。ここは福島から東へ行く道しかないという状態です。ですから、南相馬の人たちにいわきのほうで何かをしろというのは酷な状態だというのもわかります。南相馬の病院の人たちが行き場を求めて、結果的にいわきまで約7~8時間かけてコの字型を描いて行ったという事態も起こったわけです。
今度は東西のルートをもっとしっかりしよう。30キロか40キロのところを、今まで1時間半もかかって、山を越えて行っている状態です。これを30分で行ける高規格の道路に変えようという提案と、丸を書いたところが5キロ四方ですが、そこに先ほど言いました二地域居住のもう1つの拠点をつくる。このあたりは今はあまり人が住んでないところですが、そこにもう1つの地域をつくるという提案をして、ここでちゃんとした生活をしながら町の復興のために通うということを考えようとお話ししています。
(図72)
先ほど見ていただいたラックジョイントの木造ラーメン構造や、桐のパネル、木製のペアガラスの窓など、私がこの20年間に開発してきた環境材料がたくさんあります。それらを駆使してできるだけ安い住宅を提供できないかということでみんなに協力してもらいながら、太陽光発電もつけた状態で83平米ぐらいの「システムエコ住宅」を考えました。これはラックジョイントですから、自由に取り外しができて、さまざまなパターンが可能です。
(図73)
今、83.6平米の住宅が1300万円ぐらいでできる提案をしています。高性能な環境の住宅をつくって、それを集合化させて真ん中にコミュニティダイニングやお風呂や図書室を持ったような農地のある「分かち合い団地」をつくるという提案もしています。現在、南相馬でモデルハウスの準備をしています。800坪ぐらいの土地を用意してくれましたので、そこで団地をつくる計画をしています。
(図74)
これは全体が循環型の社会をどうやってつくれるか。ごみがエネルギーとして変えられるのかということを議論してきたものです。一番下に書いてありますように、オーストリアのいろいろな知恵が私たちに非常に強い力になってくれていますので、今オーストリア政府とやっています。
(図75)
これはその中で、現在はただごみを集めて燃やしているだけですが、それを発電所として使おうというものです。そこでの発電能力がどのくらいあるか。全部で7万3000キロワットぐらいの発電の可能性があるという提案もしています。
(図76)
左側がウイーンのシュピッテラウというところのごみ処理の発電所です。これはフンデルトヴアッサーという、少し奇怪なデザインをすると言われている建築家の作品です。彼は環境共生型、自然共生型の建築をつくっている人です。
右側にありますのは、私たちがNPOで、佐久でつくっている24時間の連続炭化装置。これは有機物であれば何でもいいのですが、それを炭化させる装置です。これにもウイーンの発電機をつけようということを考えています。このように木質のバイオマスからどのくらいエネルギーをつくれるかということを計算しました。


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