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それから、もう1つ上に行きますと、空間計画による削減手法が書かれています。同じ建物でも中の空間を二重に使い分けることによって面積を少なくする。空調や照明をある時間だけに限る。空間を外と中との中間領域をつくる。活動のアクティビティーのパターンを変えていくなど、いろいろな手法があります。
 もう一つ前に行きますと、都市空間の環境をよくすることが大量の建築のCO2削減につながることが、梅干野先生の研究等でわかってきました。
さらに川上側に行きますと、企画、計画の段階ですが、ここで、本当にこの建物をつくるべきなのかどうかという議論をする必要があります。
(図28)

 

 

 

 

 

 

 


一昨年、日本建築学会が17団体で地球温暖化対策ビジョンというものを出しました。この図がその時のカーボンニュートラル建築を説明する図です。左下の図がゼロカーボン建築です。建築を省エネ化し、再生可能エネルギーを建築の周辺でつくり、ゼロカーボンにする考えです。それを学会でさらに議論した結果、右下のように、クレジットを使ってでも認めるべきではないか。オフセットをした上で、そういうクレジットを使ってゼロカーボンにすることができるのだということで、これをカーボンニュートラル建築という言い方にしています。
(図29)
エネルギーからコミュニティと循環型社会の問題に少し変わります。いろいろな循環型の町をつくるということと同時に、山から湖までの自然の力をどうやって私たちの暮らしに生かしていくか。いろいろなエネルギーと食と建材も含めて、さまざまな材料の循環が行われるような町をつくろうということであります。
(図30)
私たちは、エコハウスというものを一昨年全国20カ所で環境省の事業として行いました。そういう中でさまざまな農のある生活をつくりました。これは先ほど言いました分かち合いのコミュニティということです。コミュニティダイニングという言い方があります。例えば東京ですと、三河島にあります小谷部育子先生たちがつくりましたかんかん森という施設があります。そこではダイニングをみんなで共有し合って、当番を決めて料理をつくり、そこで高齢者たちが、寂しく1人孤独でなく、いつでも食事をすることができるような場所をつくっていこうという考え方が生まれてくるわけです。
(図31)
この図は40%の高齢者がどうやってケアされるのかということを考えるグラフです。これは土浦市を例として考えたものですが、ゼロのところから下がケアされる人の数で、上がケアする人たち、労働人口といっていいと思います。その人口が今は5万5000人ぐらいいるわけです。それが下の赤いところをケアしていたわけですが、これからはそれが青いグラフのところまで下がってしまうわけですね。そうしますと、40%の高齢者をケアできなくなるということは目に見えてわかります。これをどうするか。まず、65歳で定年でやめていくということをしないで、もっと多く働こうというのが1つの方向です。それによってケアの時期、年金をもらう時期をもっと遅くしようという考え方。それから、婦人の就業環境も改善することによって、もっと多くの女性が働ける環境をつくろう。ここには書いてありませんが、移民をどう受け入れるのかという問題がもう1つ大きなテーマとしてあります。
(図32)
この写真は私たちが東大の大学院の演習で行いましたコミュニティダイニングや多世帯のシェアリングの演習であります。その中に、それぞれ空き地に木を植えたり、農業をして、いろんな生産もしながら、そこで自分たちでつくったものを食べていく、そういうダイニングの考え方を提案いています。
(図33)
日大の糸長浩司先生のところでは、主にコミュニティのあり方、環境政策を誰がつくり、誰が市民に対してどういう言い方をするのかという議論をしてきました。これは福生市で行いました福生エネルギー市民会議。環境市民といっている人たちをどうつくり上げていって、彼らが環境に関してどう議論を重ね、それをさらに政策として市の行政の政策につくり上げていくかということをモデル的に実験を重ねています。
(図34)
これも糸長先生のところで、農のある生活、エコビレッジということをずっと追求しています。パーマーカルチャーという言葉も皆さんご存じかと思います。農業を通じてそれらを自分のライフスタイルの中に取り込みながら、自分の生産活動と生活との間をいいバランスの中でつくり上げていこうという考え方であります。




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