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図12)
それらを13のガイドラインという形でまとめて、緑の冊子をつくりました。それについて今日は少しお話しさせていただきます。
最後の14は、3.11以降に、防災意識の高い、災害に強い地域まちづくりをつけ足しております。
(図13)
全部はお示しできませんので、簡単にお話ししたいと思います。1つは、大野秀敏さんに委託をして、長岡市で都市の構造についての議論をしました。今、国交省の基本的な戦略としてはコンパクトシティということが言われています。それではどういうコンパクトシティが環境にいいのかという議論です。
それらを3つのモデルに想定して、現在の状況から、これらのモデルにするまでの転換のエネルギーをすべて計算してみました。左下にあるのが、その時に排出されるCO2の量です。それによりますと、単芯型の一番コンパクトな形にするのは非常にエネルギーが要るということがわかってきました。それを運営の状態になった時の少ないCO2がコンパクトシティの成果だと言われるわけですが、その差を置きかえるのに約50年以上かかるということになりました。つまり、LCCO2の計算によってコンパクト化をよく考えていくのが非常に重要であるということなのです。
(図14) 
その次に公共交通をどうやって増やすのかという課題です。今までの公共交通は駅から放射状に出ていますが、駅は地域の交通には余り役に立っていません。バスをどうやって循環させるのかというテーマが大きく、大野さんは8の字型のBRTを提案しています。
(図15) 
それから、都市の中での個性のある風景の町をどう生かしていくのかという問題が大きくなっています。
(図16)
さらに、先ほど言いましたように、これから人口が縮減し、全体で75%になるとしますと、各都市の税収も75%になると想定されます。この縮減される税収から都市の経営や運営をしていくことは、どういうお金の使い方をすべきかということを克明に私たちは土浦市を対象として計算してみました。
この絵はDIDを示しています。DIDという、ヘクタール40人以上の人口稠密な地区は、赤であらわしています。これを見ると、既に現在でも都市地域の中で半分以下になってしまっていますし、2050年になりますと、本当にごく限られたところしか40人以上のところはありません。これが20人から10人になってきますと、今までの農村地域の集落とほとんど同じようになってしまいます。そこでも、都市のインフラを今と同じようにつくり、維持していく必要があるのかということが大きなテーマです。
それを私たちは、75%になるという計算をしました。そのほかにも、何が優先されるのか。高齢者に対する福祉の対策あるいは病院、インフラの中でも橋や下水などは、基本的に、人口が少なくなるからといって予算を75%にしてもいいと言えません。そうなると、末端の下水あるいは道路舗装などの、幾つかのサービスに関しては、そこまでやらなくてもいいんじゃないかということが言えると思います。
今ここでは2つの提案をしています。1つは50%だけに100%のお金を出してやり、その他のところについては半分以下のお金しか出せないという政策、あるいは75%のエリアを100%やって、あとはゼロにするという政策。75%の使い方に関する議論がこれから必要になってきます。
(図17)
もう1つの問題は、宅地と農地の区分けが農水省と国交省という管理主体で分かれているために、農地が幾ら休耕田になったとしても、都市から人が行って耕したりすることはできないという状態の問題です。あるいは逆に、都市の中にいろいろな空き地があります。その空き地をどうやって農業に使えるかということ課題ですが、現在は宅地並み課税という税金を払わなくてはならないために、その空き地を農業には使えないことから、税金対策として駐車場として貸している状態を示しています。これは土浦市の駅から500メートルの周辺ですが、半分近いところが駐車場という名前の空き地になっている。これは都市の活性化にも何もつながらない、いわば骨粗鬆症化した都市と私たちは言っています。
(図18)
それをどのように変えていくのかという提案としては、全体に人間的なスケールで暮らせる町とすることです。車を限定的に入れないような状態もつくり、自転車と人との町、緑の多い町をつくっていく。それから、水と緑のある豊かな暮らしを復活する。土浦はもともと運河の町でしたので、水を復活する。これはソウルでも今やっています。そういうまちづくりが必要なのではないかと考えています。これは空き地も利用して農と緑のある住宅地を再生するという計画です。
(図19)
これは東工大の梅干野晃先生が研究したものですが、アスファルトの駐車場から緑のある駐車場にすると、どれだけヒートアイランドポテンシャルが少なくなるかを計算してみました。アスファルトの場合、芝生の場合、木をたくさん植えるという場合の3シナリオを比べると、25度ぐらいもポテンシャルが変わってくると示されています。これは単に外のヒートアイランドが少なくなるという議論だけではなく、これによって隣にある建築物の内部のエネルギーが少なくて済むことを示しています。
(図20)
次の図に書かれているヒートアイランドポテンシャルというのは、駐車場の隣の家のエネルギーがどのくらい変わるのかということを計算をしたものです。
(図21)
建築的な話になりますが、ここでは古くなった建物をできるだけ壊さずにさまざまな使い道を考えていくことで延命をしようということが大切だということを示しています。そして地域産の木材をできるだけ使おうということ。耐震改修を実施する時には、環境を配慮した改修を行っていくということ。新築の建物に関しても、将来の用途変換、居住者のライフスタイルのステージに合わせた改変を可能にするよう考えていくべきだろうということを提案しています。


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