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(図75)

 

 

 

 

 

 これは、三井不動産の、僕が非常にお世話になっているS&E研究所の所長をされていた多田宏行さんという方と一緒にやった事業です。三宅一生さんの本社ビルなどいろいろなことをさせてもらいました。ハウスシリーズというものをつくりましたが、それもその1つです。六本木のロアビルの横にあります。地下に「春秋」という杉本貴志さんが経営するレストランがあります。1階は、初めはアルマーニが入っていました。2階はイタリアレストランです。容積の3分の1ぐらいしか消化していないんです。80坪ぐらいの敷地の中で、地上2階地下1階です。これを計画する時に、事業として考えるなら、土地は昔からお持ちになっているということなので、こんな小さな土地に高層の10階建てを建てて、非常階段をとってエレベーターをとってすると逆に非常に非効率になる。それなら、一番高く貸せるところで、一番面積がよくとれる2階建てにしてつくったらどうかという提案を三井不動産さんにしました。それもいいかもしれないというので、私どもの弟が設計をしたものです。
もっと大きいものをつくれば儲かるというので、容積、容積、容積といってきたんですが、本当かなと思うんですね。容積がなくてもいけるのではないかということもありますし、今回の地震で、地上30階にいるときの恐怖は大変なものがあります。僕はもともと高所恐怖症で、自分の身の丈で物事を考えるものですから、何も高層ビルが悪いとはいいませんけれども、僕ならあそこには住めないなと思うんですね。そういう意味で、容積がなくても事業は成り立つ場合もあるというケースであります。
(図76)

 

 

 

 

 

 これは自分としてはこんなにうまい商売があるのかという事業です。渋谷の文化村を、上に上っていくと道玄坂になるところにあります。ここに約380坪ぐらいの敷地がありました。周りは百何十店舗ラブホテルばっかりなんです。ラブホテルへ行く人しか歩けないような道なんです。こういう道に何をしたらいいのかといわれて、人をいろいろ集めたらラブホテル街の道も変わるんじゃないのということで、コンサートや展示をやるホールをつくりましょうと提案してつくりました。中が約120坪ぐらいのホールなんです。この120坪ぐらいのホールを1日100万円で貸す。あと、音響の設備を貸したり、照明の設備を貸したりして、大体1日130万~140万円レンタル費になる。1年のうち、修理日以外は全部満杯です。年間に4億円ぐらいの収入がありますが、建物全体は3億2000万円ぐらいでできていて、非常に話題になった建物です。事業としてもいいし、まちの活性化にとってもよかったと思っています。
(図77)
この時も、まちを再生するには道を考えようということで、道に勝手に名前をつけました。ランブリングストリートという名前をつけた。役所には嫌がられたり、周りの人にも嫌がられたりするんですけれども、そういうものを、社員にいって怒られても、つけてみたらという感じでやっています。
(図78)
これは、三井不動産の所有のNTTデータ通信豊洲の本社ビルで、1万坪の計画の依頼をされました。1万坪の内装全部で約120億円ぐらいかかるんです。このころは超バブルで、「設計費はどれぐらい出したらいいのかな、いってください」「13億円」「あ、いいでしょう」というように、もう一遍バブルが欲しいような感じがするくらいの大仕事だったんです。
NTTさんに仕事に行きますと、毎回朝9時に社員が出かけて6時ごろに帰ってくるんです。「何しているの」「会議です」「何でそんなに会議があるの」。そのときに提案したのが、早く終わるために立ち会議室です。これは採用されまして、大体1時間ぐらいで終わるようになった。自分たちの日常の働くことや遊ぶこと、住まうことの中に、いろいろな仕事がいっぱいあるんだなと思うんです。
今スタッフが20人ぐらいなんですけど、みんなに仕事を考え出せと常にいっております。
(図79)
 「山のように仕事があるのではないの」といっています。これは、函館で魚長食品さんです。海の一番いいところにごみ箱みたいなのがありまして、これを改造して、商業施設を考えろといわれた。
(図80)
 まちの人がここに来て、日がな夕日を楽しめる、そういう広場をつくりましょう。広場だけでは事業になりませんので、約2億5000万円ぐらいの建物を建てた。今、年間12~13億円の商売をしています。お土産の海鮮物の問屋さんがあって、スターバックスがあって、レストランがあるというものを考えさせてもらいました。そのときにも、後ろの金森倉庫とどうつながっていくか。観光客は坂をおりてきて、ここを楽しんでつながっていけば、なおいいんですね。
企業でも横のつながりの悪い企業が多いと思うんです。分離し分断されている部分がすごく多くて、僕たちはつなぐ役割もしている。まちも一緒だと思うんです。つないでいかないと楽しくない。自分たちだけで囲い込んで商売をするというのは長続きしない。別府や熱海の温泉街を見てみますと、全部自分たちの中で囲い込んでご飯を食べさせ、カラオケもさせ、お土産も買わせとやっていますが、一瞬はいいかもしれないんですけれども、長期的に継続はしないと思っています。
(図81)
 これも、商店街に90年ごろ仕事を頼まれました。商店にどうしたら人が来るだろうかというので、歩いてみたら、東新町川という川がありまして、この川を活用させてもらったらどうかということで提案しました。この時は、市と県が運営している駐車場でした。

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