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1.持続可能社会が論じられる背景

2. 持続可能社会の2つの方向(先端技術型モデル/自然共生型モデル)

3.先端技術型の限界と自然共生型への転換

4.自然共生型モデルの必要条件

5. その実現シナリオ

6.実現のための課題

7.新たな社会への変革(技術/産業、社会/経済、価値観/倫理観)



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フリーディスカッション

谷 先生に質問のある方。どうぞお手をお挙げくださいませ。いかがですか。
小林康彦(一般財団法人日本環境衛生センター) 日本環境衛生センターの小林といいます。大変お世話になります。
先生のお話の地域自立・分散型社会を目指す推進役といいますか、それはどの辺が中心で動くのか、把握しましたでしょうか。
内藤 まさに今そのことが一番地域での議論になって、みんなが苦労していますが、恐らくコンソーシアムみたいな形になるのかというのが1つの選択です。つまり、そういうことに共鳴する事業者に参加してもらってもいいですし、主としてNPOと称する市民の志のあるグループが中心になるというささやかな活動が中心であるという姿が想像できます。それに役所がバックアップする。役所が表へ出てはいけないと思います。
「新しい公共」という言葉もあるぐらいですから、昔ながらの公共が役所のカネで何か上から指導してやるという時代は、力もないこともあり終わって、主として下からの民意の盛り上がりで進まないといけない。そもそもカネがないとできない事業というのはありません。カネのない社会を想定していますから、みんなの善意と汗と多少のファンドでやっていきます。年寄りが持って抱えているようなものを我慢して多少は出していただくということを今一生懸命考えていますが、そんなにすぐ動く話ではないですね。一番厳しいところを突いていただきました。
今村邦雄(KTストアマネジメント㈱) KTストアマネジメントの今村と申します。
今日の先生のお話は非常にごもっともだと思います。ただ、一番疑問なのは、今後、どうやって実行していくか。先ほどの質問と似ているのですが、やはり政治とメディアの役割が今非常によくないと思うのです。具体的に政治をどうしたらよくなるとお思いでしょうか。
内藤 私は東京で二十数年お手伝いして、実は最初に申し上げたように国の政治や官僚機構にこれ以上すがって何とかするのはもうやめようということで地方へ行っています。最初はそう思っていなかったのですが、何とか国の協力も得ながらと、数年の間、一生懸命助成金も探し、いろいろなことをしたけれども、これをやっている限りやはりだめなんじゃないか。別に地方にカネがないわけではないんです。あるところにはある。それから、毎年抜かれているカネを取り戻すだけでも、倍ぐらいの経済力には十分なり得るので、そこから始めようと。カネも知恵も自前です。優秀な人材がみんな東京に出てしまっているので、知恵の面がなかなかしんどいのですけれども、なけなしの知恵と、それから資源は一応あります。それを動員して、自前でできることから本当にシコシコとやっていって、成功事例を見せる。日本の場合は割と成功事例がぱっと伝播する。「こんなうまいことやりよった」と言うと、農村社会に広がる。それを狙うしか今のところ戦略はありません。
 したがって、お尋ねの国の政治でというのは、期待はしつつ、しかしそれにも余り寄りかからない。むしろ、今のままだったらあきらめたほうがいい。どこかで革命的に変わるかもしれませんけれどもね。それがあるかどうかはわかりませんが、何せ革命的に変わっていただかない限り、これはどうにもしようがないのではないかという前提で動こうということです。
阿部和義(経済ジャーナリスト) 阿部と申します。
淡路島で大学をつくるという話ですね。これは非常におもしろいと思うのです。例えば、宮城県で野沢先生が山奥に宮城県立大学をつくった。中央大学が八王子のほうに移転しましたが、生徒は都心部にいたい。だから、中央大学は戻ってきたのです。明治大学みたいに都心にあれば、応募はどんどん上がるけれども、地方に移転してしまうと、応募は上がらず、それで渋々施設が戻ったのです。
私がお聞きしたいのは、淡路島の大学はどんな具体的な構想があるのか。若者たちのために我々おやじたちのカネを地方にやるというのは、ちょっと先生の認識が甘いのではないかと思います。その辺はどうですか。
内藤先生 文部省にも何度も突き返されて、「大体、学生がそんな田舎に集まるのか。仮に卒業させたとして、それがどこへ行くのか」と、その目途は何度も聞かれました。本当にカネかけて、調査して、間違いなく定員までの志願者はいますというデータをつけて、やっとオーケーになったんですけれども、こればかりはふたを開けてみないとわかりません。


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