→日建グループへ





1.持続可能社会が論じられる背景

2. 持続可能社会の2つの方向(先端技術型モデル/自然共生型モデル)

3.先端技術型の限界と自然共生型への転換

4.自然共生型モデルの必要条件

5. その実現シナリオ

6.実現のための課題

7.新たな社会への変革(技術/産業、社会/経済、価値観/倫理観)



 PDF版はこちらです→ pdf


(図27)

ここは、私が言ったわけではありませんが、従来型の資本主義と健全な市場経済との対比にかなり近づいてくる。対比に近づくというのはおかしいですが、対比されたこういう変化、左から右への変化が自然エネルギー世界を想定したら、かなりそれに当たっているのではないかということです。
日本の発展にいいことかどうかという次元は別にして、こうならざるを得ない一面があるということとこういうことの価値を、日本全体として大分認め始めているとお思いになりませんか。こういう議論は、特に地方にいたら「そうだ。そうだ」という声がとても多いです。こういう社会を目指そうと。だから、新しい幸せ指標をつくろう、GDPにかわるものを模索するという努力がたくさん始まっています。
(図28)
政治家の主張を整理していくとこうなるということが朝日新聞の特集に書いてありました。
一方は枝野さんを筆頭に、成長にこだわらずに幸福を実感できるというのはGNHの世界ですね。Happinessの世界です。
もう一方は、「いや、そうじゃないんだ。やっぱりグロ-バル市場に進出して、あくまでも成長を追求しないといけない。発展とはそういうものだ」という主張があり、政治家の中でも対立構造にあります。
私は旗幟を鮮明にしておいたほうがいいと思いますが、地方でお手伝いするとGNHの世界に行かざるを得ない。行きたいか、行きたくないかは別にして、こうするしか選択肢がないということだと思います。だから、こういう社会をどう描くかをずっとお手伝いしております。国の政治としても、これははっきり自覚をする必要があるし、この辺を明確に察していただく必要がある。
今評判の橋下さんや小泉さんは、小さい政府で民間に任せる、市場の役割を重視するというところにいるようです。

 

5.その実現シナリオ

(図29)
地方から見ていると、戦後の日本社会は工業立国を目指したことで想像できなかったほどの豊かさを実現したことは確かです。なかんずくは、規格大量生産というのが非常に成功した。それを工業製品で大量輸出して、外貨を獲得した。それはほとんど東京に集中したわけですが、従来は一部公共事業で地方にばらまいていただいた。ですから、地方の産業は公共事業ですね。土建屋さんが大体地方議会の主流でありました。そういう時代でした。何故かというと、東京で稼いだおカネを地方へ何とかして流すとしたら、地方で公共工事をやりなさいということになったお、しかし、それで結果として地方の自然や文化というものが崩壊した。
一方では、農産品の大量輸入をやりました。つまり、工業製品の輸出に並行して、農産品の大量輸入。これはもう比較優位ですからしようがないということになったのです。経済合理性からいったら、それは正しかった。
したがって、これは農村経済を徹底して崩壊させて、何とか補助金で維持しようとしたのです。しかし、もうそんなことではもたない。ましてや、今は補助金が公共事業に流れにくくなっている。これはもう加速しているわけですから、さあ地方はどうしたらいいのかということで、今、お手伝いをいろいろ頼まれるわけです。
やはり農工連携を上手にやって、自立型経済をつくって、農系経済の再生、地方社会の創成をやろうというのがうたい文句ですが、具体にどんなことをするのか、本当に難しいところであります。珍しい野菜でもつくって東京へ売って、買ってもらおうかみたいな発想にしかならない。そんなすき間でもうかるカネなんてわずかなことです。ですから、それをどうするのかということです。それを本気で今考えようとしています。




         10 11 12 13 14 15 
copyright 2010 NIKKEN SEKKEI LTD All Rights Reserved