様々なテクノロジーによって、元来、都市部の大きな強みであった「高いコミュニケーション効率」が郊外部でも地方部でも変わらず享受できるようになりつつある今、果たして、私たちは都市に何を求めて集まってきているのでしょう。社会学者であるクラーク教授は、『The City as an Entertainment Machine』の中で、広い意味での「アメニティ」(もしくは「娯楽」)の重要性を説きました。ここでいうアメニティとは、美味しいと評判のレストランであり、新鮮な空気を吸える公園であり、新たな感覚と出会える美術館であり、心躍るイベントであり、ほっと一息つけるカフェでもあります。こうしたアメニティ群、そしてその消費を通じた多様な都市体験がどれだけ豊富に存在しているか。その存在こそが、人々を都市に惹きつけ、都市の成長をドライブする鍵だというのです。
参考
1) Florida, R. (2002).「Bohemia and Economic Geography」『Journal of Economic Geography』, 2, 55–71
2) Clark, T.N. (2003).「The City as an Entertainment Machine」『Research in Urban Policy』, 9
3) 清水千弘・馬塲弘樹・川除隆広・松縄暢(2020) .「Walkability と不動産価値: Walkability Index の開発」『CSIS Discussion Paper』, No.163