まちづくりの観点から、特定のまちや場と結びついたweb3事例をご紹介すると、NFT所有者をデジタル村民として位置付け、地域の関係人口を創出する「Nishikigoi NFT」 5)、入居者がトークンを用いた投票行為で運営に関わるシェアハウス「Roopt神楽坂DAO」 6)、地域の店舗等と連携し、現地でチェックインしたユーザーにNFTを配布するNFTゲーム「Game of the Lotus」 7)、地域内での共助やスキルマッチングを促進する「Furusato DAO」 8)等があげられます。これらの例に共通してみられるのが、DAO 9)によってリアルなまちや場に関わる、特定の目的を持ったコミュニティを運営し、それと並行して、NFTやトークンを、コミュニティ運営の円滑化やまちとコミュニティのタッチポイントづくりのために活用する方法です。
察しの良い方は、「なるほど、web3は参加型まちづくりに、DAOやNFTといった新しいツールを提案するかもしれない」とお気付きかもしれません。しかし、それは単なるツール以上のもの、参加型まちづくりの新しい方法論(DeCoDe:Decentralized Community Development;分散型まちづくりの略)を提示し得るのではないか、と筆者は考えています。なぜならweb3は、不特定多数の市民を組織化し(ブロックチェーンによる紐帯)、その権利と利益を明確化し、まちづくりへの関わり方を多様化、または深度化し(透明性の高い議論と投票行為・NFTの所有行為、投票結果のスマートコントラクトによる実行)、今日の参加型まちづくりのプロセスが抱える多くの課題:例えば参加者の主体性、固定化、意見の反映等を過去のものにする、単に道具立てでは達成し得ないであろうイノベーションの可能性を秘めているからです。