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ビルオーナー・テナント視点からみた環境性能評価指標

はじめに

近年、建築物省エネ法の改正(一定規模以上の新築および改修における省エネ基準適合の義務化等)や東京都における大規模事業所のCO2削減義務の強化など国や自治体において建物の省エネに関する規制が強化される傾向にあります。そして、これらの法規制の強化をはじめとした社会的ニーズの重要性および認知度の高まりから、ビルオーナーだけでなくテナントにおいても建物のエネルギー性能を重要視する傾向にあります。特にビルオーナーにおいては省エネ性能の表示が努力目標として定められBELS(☆1つ~5つの表示によるエネルギー性能に特化した評価指標)による第三者認証制度が2016年4月にスタートしました。2017年1月末時点では補助金の効果もあったと思いますが建築物だけで既に344件の認証実績があったと報告されています。そこで、今注目されているBELSに関して、ビルオーナーとテナントという関係に注目し、その訴求効果や制度の活用方法について考察します。

テナントのオフィス選び

テナントが入居オフィスを選定する際の手順として、多くの企業は、賃料、立地、広さ、設備スペックといった必要条件を提示して候補建物の絞り込みを行い、次に候補建物の相対評価を行い、機能性などの決定条件に近い建物を選定する2段階方式としています。特に2段階目において、相対評価結果が把握できる指標が有用であることが確認されています。
その中で今までオフィス選びの条件としてあまり考慮されてこなかった省エネ性能ですが、今後は、適切な省エネ性能のオフィスに入居すること自体が、テナントの社会的取組みとして評価されるものと考えられます。特に大企業ほど社会的な要求が高いため省エネに対して積極的に取組む傾向は強くなります。
一方で、省エネ性能を選定条件とする際に有用となる評価指標が今まではなかったのは事実であり、例えばCASBEEやLEEDなどは環境性能としてのレベルは確認できますが、省エネ性や改修の効果については見えにくいという点は否めません。そういった点ではBELSはまさに相対評価をする際には分かりやすい有用な手法といえます。

テナントリーシングへの展開

一方でビルオーナー側は、もちろん性能表示の努力義務を果たすという意味も、自身の環境配慮への取組みを社会的にPRするという意味もありますが、テナントのオフィス選びの選択肢の変化に対応し優良企業を誘致するという最も大事な目的があります。特にテナントとして誘致したい大企業は省エネ性を重要視する傾向にあるため、新築の場合には建物のエネルギー性能を、改修の場合にはその効果を適切に把握しテナントに説明できるよう準備をする必要があります。そういった意味では性能表示はオーナー側においても有用な手法であると思われます。現に複数のビルを保有するビルオーナーの中には積極的にBELSの認証取得に取組み2016年度中に10件以上の認証取得をした企業もでてきており、テナント誘致にあたり建物のエネルギー性能がPRの材料として有効な手段であると判断していることの現れであると考えられます。さらに、今までオフィスの立地や大きさで選択肢から外れていた中小ビルにとって、他のビルとの差別化を適正に評価提示できる性能表示制度は十分に期待の持てる制度であると思われます。

その他の環境評価指標

これまでビルオーナーとテナントの関係に注目しながらBELSについて述べてきましたが、その他にも一般的に利用されている環境評価指標がいくつかあり、それぞれ特徴があります。以下にそれらを整理し本稿を終わりにしたいと思います。

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