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地域グリーン水素の低コスト化に向けて 講師:信州大学 先鋭材料研究所 教授、株式会社 X Scientia 代表取締役 他 博士(工学)古山 通久 氏

脱炭素化のために有望なエネルギー源と目される水素は、高コストであることが課題といわれます。この「水素は高い」との概念から解放された社会実装化の取り組みについてご講演いただきました。

世界的な脱炭素化の流れは、2015年のCOP21パリ協定で、世界の平均気温上昇「1.5℃未満」を目指すことが転換点となっています。この1.5℃シナリオは、2050年に実質カーボンゼロとほぼ同じことを示すためです。しかしそのシナリオ自体は金科玉条ではなく、脱炭素に向けてどのような未来の循環社会を描くかが重要と考えます。

まずは未来の姿を共想してみましょう。未だ終息が見えないコロナ禍による影響としては、これまでの都市化(密・密閉)からWith コロナ社会では開疎化(疎・開放)の方向へ。またSociety 5.0の社会像のひとつとしては、すべてが「and化」することで、様々な課題を同時解決する姿がトレンドとなることが考えられます。
開疎空間における電力需給時の課題は、輸入資源を化石燃料から水素にしても地域構造は変わらないことです。また再エネ100%の実現のためには、現状と異なるエネルギー供給の姿をゼロベースで考えるべきです。発電単価の推移を検証すると、2030年代には再エネは既存電源と比べて圧倒的な低コストとなり、出力が不安定な再エネを中心に据えた新たなパラダイムが見えてきます。

この新パラダイム下の戦略では、水素の価格破壊が必須です。再エネからの水素製造は高コストがボトルネックであるためです。私は2019年の論文で、従来の水素コスト100円/N㎥との常識を、蓄電池と水素を併用して設備稼働率を上げることで1/3低減への見通しを示しました。また複数のエネルギー技術のand化と地域課題解決による価値向上による相乗効果による水素製造原価の低減も考えています。

さて水素の社会実装に向けて、私は現在、北九州で未利用電源である廃棄物発電を利用して水素製造するとともに、その副産物を販売することにより事業性を確保する事業を進めています。これにより2030年よりも早期に30円/N㎥の原価を達成することを目標に、経済合理的なグリーン水素のサプライチェーンの早期実現を目指しています。これが社会実装のための第一歩だと考えています。
[講師]
信州大学 先鋭材料研究所 教授、株式会社 X Scientia 代表取締役他 博士(工学)
古山 通久(こやま みちひさ)氏

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