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私たちは、都市デザインと建築環境に関するエンジニアリングの融合のもと
「持続可能な社会の構築」を目指して活動しています。

官民連携 都市DX

官民連携からDXまで
都市と不動産をデータで活性化する

日建設計総合研究所(NSRI)では、不動産・データ戦略の領域において、官民連携事業をはじめとする不動産利活用の事業化、都市と不動産のビッグデータ分析、都市DX推進などに取り組んでいます。この領域はデータに基づき意思決定や戦略策定を支援するデータドリブンなコンサルティングやデータビジネスの展開など、社内の横断的な領域連携を活性化させる役割も期待されています。不動産・データ戦略領域が担う役割を大久保 岳史 執行役員に聞きました。

エビデンスに基づく不動産や都市情報の利活用

伊藤:  不動産・データ戦略領域が取り組むテーマはなんでしょうか?

大久保 : NSRIは、「都市と環境の融合を通じて持続可能な社会の構築に貢献する」ことを目指しています。このような社会の実現のために、土地や建物等の資産をより事業的側面で捉える不動産領域を意識し、NSRIが有するソリューションを社会に実装化、事業化していくためのコンサルティングを強化したいと考えています。

不動産・データ戦略領域では、データスキルを強化し、エビデンスに基づく不動産の利活用戦略や事業化支援やデータビジネスをテーマとしています。
大久保 岳史 執行役員
大久保 岳史 執行役員
伊藤: 事業化、ビジネス化がキーなのですね。どんなサービスを提供していますか?

大久保: 「官⺠連携・不動産戦略」「ビッグデータ・建築都市経済」「都市DX」という3つのビジネスドメインに取り組んでいます。クライアントは、国や地方自治体、民間企業や機関投資家まで多岐にわたります。

「官⺠連携・不動産戦略」では、中央省庁に向けた不動産関連の施策立案支援、公共・民間の保有不動産の活用や投資戦略支援、官民連携事業化支援、「ビッグデータ・建築都市経済」ではビッグデータを駆使した都市分析や制度設計支援、不動産デベロッパーのまちづくりビジョン策定支援、「都市DX」では、都市情報のDX化を推進し、新サービスの社会実装や情報インフラづくりを目指しています。

既存ストックの活用・再配置が官民連携の鍵に

伊藤 : 大久保さんは「官民連携・不動産戦略」のビジネスドメインリーダーでもありますね。具体的にはどのようなサポートを行っていますか?
 
伊藤 渚生 研究員
伊藤 渚生 研究員
 大久保: 官民連携事業化支援では、事業スキームの構築、公共団体が民間事業者に求める要求水準の検討、パートナー事業者の選定支援など、公共側アドバイザーとして公共事業の事業化に関わる実務的な支援を行っています。事業者の決定後も、事業計画のレビュー、官民の役割分担を取り決める事業契約の締結に至るまでの一連のプロセスをサポートします。実際に運営が始まってからは、計画どおりに事業が進んでいることを検証する事業モニタリングを実施しています。

伊藤: 官民連携事業を成功に導くには何がポイントになりますか?
 
 大久保: まず公共側がしっかりしたビジョンと事業目的を示すことです。民間事業者にすべてお任せという姿勢では官民連携は成功しません。この事業で何を目指すのか明確に示すことで民間事業者のノウハウやアイディアの活用方法がより具体化されます。我々は豊富な事業実績を基に事業目的の明確化や事業ビジョンの立案からサポートしていきます。

また、官民連携事業には、公共性を確保する公共事業としての考え方と事業採算性を重視する民間事業の考え方との間にギャップが生じます。我々は公共団体と民間事業者の両方をクライアントとした事業を経験していますので、両者の考え方の違いを理解した上で双方がwin-winとなる落とし所を見つけて調整していきます。
伊藤: 官民連携事業のトレンドや課題を教えてください。
 
大久保: 我が国では、官民連携事業の一つであるPFI事業が本格化したのが2000年代初頭です。約20年間を事業サイクルとするPFI事業は、今後、第1期の事業期間が終了する事業が増加することになり、次フェーズの事業展開を検討するニーズが増えています。あわせて、今後は新築よりも既存ストックの活用が重要になります。人口減少社会にあわせた公共施設の再編検討や再編後の跡地活用を検討する案件も増えてきました。
 
伊藤: 「地方創生2.0」という施策が国で進められていますが、地方部での官民連携事業の取り組みについて教えてください。
 
大久保: 地方創生を推進するために、官民連携による事業展開は重要な役割を担うと考えており、NSRIにおいても地方部での官民連携事業の事業化支援も多く取り組んでいます。一方、都市部と比べて地方では事業性に課題があることも多く、民間事業者の事業参画判断が慎重になってきています。特に、地方部では、官と民だけでなく、地域課題の解決に直結するような内容を事業にうまく組み込み、地域の企業や住民・団体を巻き込みながら事業を推進していくことが重要になってきています。
伊藤: 地域の課題にNSRIの強みをどのように発揮できるでしょうか?

大久保: NSRIの強みは、複雑化する地域課題に対して様々な専門領域を横断的に組み合わせて解決することができることであると考えています。例えば、最近増えてきている案件として学校の統廃合に伴う小中学校の跡地活用検討があります。学校は地域コミュニティの中心的役割を担ってきた場所ですから、単純に民間事業者が収益性を重視し事業化すればいいというものではありません。地域住民を巻き込むエリアマネジメント的手法によって、地域の拠点再生のお手伝いができると思います。

また空き家問題などの遊休不動産の活用が課題になっていますが、地域が有する既存資源の魅力をうまく引き出すことができれば、民間事業者にとって魅力的な資源となる可能性もあります。NSRIでは、地域資源の一つである歴史的建物や文化財活用に関する視点からコンサルティングを行うことも可能です。

都市・環境・不動産をデータでつないでいく

伊藤: 不動産やデータ戦略を切り口にしたNSRIの今後の展望を聞かせてください。
 
大久保: NSRIは「都市と環境」というテーマで始まった会社です。そこに、事業性を意識した「不動産」領域も組み合わせながら、データ戦略という横串を通してつなぎ、社内の横断的な領域連携を活性化していきたいと思います。今後は都市・地域レベルでのカーボンニュートラル対応などの課題に対して、環境領域のリソースに都市情報分析や官民連携による取り組みなどの都市や不動産領域の具体化の知見を組み合わせることで、新たな価値提案ができると考えています。
 
伊藤: 日建グループとの連携も深まりそうですね。
 
大久保: その通りです。建設費高騰が続く中、適正な建設マーケットを踏まえた事業計画や事業化の道筋を提案するには、建築の専門集団である日建設計との連携が不可欠です。一方、日建設計はこれまで都心部や主要都市での仕事が多かったのですが、今後は地方創生などの地方に目を向けた取り組みも増えていくと考えています。官民連携事業化支援やデータドリブンなコンサルティングの展開実績のあるNSRIがその牽引役を担っていければと思っています。
左:伊藤 渚生 研究員、右:大久保 岳史 執行役員
左:伊藤 渚生 研究員、右:大久保 岳史 執行役員

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