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若手所員が見たワーケーション茨城県大洗町での実証実験

担当研究員

新型コロナウイルス感染症の流行や働き方の多様化により、オフィス以外の場所で仕事をすることが増えてきました。そんな中関心が高まっているのが、観光地や帰省などの休暇先でリモートワークを行う「ワーケーション」。日建設計総合研究所(NSRI)では、茨城県大洗町でのワーケーション実証実験を行いました。その結果を、参加した若手所員に聞きました。

小松: 今回の実証実験は、観光庁の「新たな旅のスタイル」促進事業のモデル事業として採用されたのですよね。4日間の滞在中、ワーケーション先の大洗町ではどんなことをされていたのですか?

渡辺: 昼はホテルやシェアオフィスで仕事をして、休み時間や仕事が終わった後で色々なアクティビティに参加していました。特に印象に残っているのは、3日目のサイクリングですね。地元の方に先導いただいて、昼休みの間に大洗町の色々なスポットを巡りました。
大洗町を巡るサイクリング
小松: 楽しそうですね。アクティビティは、受け入れ先で準備してもらったものですか?

杉原: そうです。アクティビティだけでなく、食事も三食セッティングしていただいていました。地元の方が毎食同席されていて、まちの産業や名所について説明していただいたので、短い期間で大洗町についてとても詳しくなりました。

小松: 大洗と言えば、アニメの舞台を訪れる観光(コンテンツツーリズム)でまちおこしに成功したまちとしても有名だと聞いています。

渡辺: 『ガールズ & パンツァー』ですね。大洗町に行くまではあまり知らなかったのですが、当時のまちづくりに関わっていた方にお世話をしていただいていたので、度々話題になりました。観光分野で元々茨城県のトップランナーだった大洗町ですが、『ガルパン』以降は大都市からの移住者も増えたとか。
小松: 興味深い事例ですね。さて、バケーションはとても充実していたようですが、ワークの方はいかがでしたか?

杉原: 仕事をする時間は、東京のオフィスで働くときよりも短くなりました。夕ご飯を食べるため、毎日決まった時間に外出するので、それまでには仕事を切り上げなくてはいけないからです。ただそのおかげで、「この時間までに仕事をおわらせなきゃ」という意識が自然に生まれ、仕事に集中出来たと思います。ホテルの客室で、目の前が海、という環境の中仕事をしていたのですが、そうした環境の良さもプラスに働いていたように感じますね。

渡辺: 確かに、私は時間があればあるほど仕事を続けてしまいがちなので、アクティビティのおかげで時間の制約が生まれたのは逆に良かったです。仕事にメリハリがつきました。

小松: パーキンソンの法則※ですね。短い時間で効率的に成果を上げられるというのは、ワーケーションのメリットと言えるかもしれません。
※パーキンソンの法則:『パーキンソンの法則:進歩の追求』の中で提唱された法則。 「人は時間やお金といったあらゆる資源を、あればあるだけ使ってしまう」ことを意味している。

杉原: ただ、効率が上がっても勤務時間は短くなっていたので、それらがオフセットされた、という感覚ですね。成果の総量が劇的に増えることは期待できません。

渡辺: 仕事がはかどったかどうか、という点は、ワーケーションの効果の一部でしかないと感じています。より長期的な効果も重要です。
小松: 長期的な効果とはどのようなものでしょうか?

渡辺: 普段の生活では得られない様々なインプットによる効果です。体を使ったアクティビティや、大洗町に暮らす皆さんとの交流は、得難く貴重な経験でした。今は個人的な経験や知識に留まっていますが、長期的には仕事にも還元出来るものだと感じています。
浜辺で拾った貝の品評会
神磯と日の出を望む
小松: 杉原さんや渡辺さんのように、実証実験に参加された所員の皆さんの意見を踏まえ、今後ワーケーションの制度化が検討されることになると思います。そこでお聞きしたいのは、ワーケーションが会社にもたらすメリットについてですが、どのようなものが考えられるでしょうか?

杉原: 渡辺さんの指摘のように、ワーケーションの経験を通して、人として成長出来るということでしょうか。もっと直接的なメリットとしては、一緒にワーケーションに参加した所員同士の仲が良くなる、というのもありますね。会社に帰ってきてからも所員同士の関係性は続くので、コミュニケーションのきっかけとしてワーケーションは有効だと思います。

渡辺: 例えばプレゼンやプロポーザル前に、合宿型のワーケーションで集中的に業務に取り組むことも考えられますね。ワーケーションと他の制度を組み合わせることで、例えば有給休暇の取得率が上がる、といった効果も期待できるかもしれません。

小松: ワーケーションがチームビルディングやワークライフバランス向上に寄与するということですね。

ワーケーションのデメリットには何があるでしょうか?マイナス面を解決できる方策があれば、より持続可能な制度設計に繋がると思います。

渡辺: 小さなお子さんがいる方は、ワーケーションへの参加が難しいかもしれません。日中に子どもが参加出来るようなプログラムが用意されていれば、ワーケーションのハードルは下がるかもしれませんね。

杉原: 今回は4日という滞在期間が決まっていて、ワーケーションに参加するのに少し覚悟が必要でした。特に責任の大きな所員は、気軽には参加出来るものではなかったと思います。何かあればオフィスに戻れるような、気軽さがあるとよいかもしれません。その意味で、ワーケーション先の距離は重要ですね。

小松: 現在NSRIでは、出張を除くと、会社、自宅・実家、シェアオフィスの3か所が仕事の場所として認められています。ワーケーションの制度化にあたって、仕事を行う環境の自由度を高めること、例えば旅先のホテル等も仕事場所として認めるという方向性が一つ考えられますよね。また、渡辺さんや杉原さんのお話からは、プログラムへの参加が、ワーケーションの高い効果を生む要因とも考えられますので、ワーケーションやプログラム参加費用の一部を補助する、といった福利厚生としての制度化もあったらよいなと思いました。

最後に一言ずつお願いします。

渡辺: ワーケーションのプログラムを通じて、様々なインプットができました。これからは日常生活の中でも、意識的にインプットの場を持ちたいという気持ちを新たにしました。

杉原: 機会があればまた是非参加したいです。多様な働き方の選択肢として、ハードルを感じることなくワーケーションが実施できるような制度化にも期待したいと思います。
ワーケーション参加者と受け入れ先機関の意見交換
早朝の磯崎神社

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