
近年、建築分野ではホールライフカーボンへの関心が高まっています。本勉強会では、IEA EBC Annex89に日本として初めて参加した新藤 幹 氏を講師に迎え、国際動向と 日本の現状を学びました。
ホールライフカーボン(Whole Life Carbon、以下「WLC」とする)は、建築物のライフサイクル全体(資材製造、建設、使用、改修、解体、リサイクル)にわたるCO₂排出量を評価する考え方です。従来は運用時の省エネが中心でしたが、再生可能エネルギーの普及が進み、電力がゼロエミッション化した場合には、建設段階や資材製造に起因する「エンボディドカーボン」の割合が増加します(例:北欧では約80%)。そのため、エンボディドカーボン対策の重要性が一層高まっています。
欧州では、国ごとに制度の範囲や内容が異なりますが、建築物のライフサイクルを資材製造、建設、使用、改修、解体、リサイクルといった各段階に分けて、それぞれに対して上限値の設定や気候宣言(届出制度)が進められています。たとえば、デンマークやフランスは建設段階から廃棄・リサイクルまで広く上限値を設けており、スウェーデンやノルウェーでは気候宣言を中心とした制度が導入されています。
IEA EBC Annex89は、建築物のWLCをネットゼロにするための国際共同研究プロジェクトであり、欧州を中心とした最新動向や制度設計の議論に加わっています。2025年11月にトロンハイムで開催された第5回全体ミーティングでは、日本として初めて対面で参加し、日本での取り組みやWLCに関する検討状況について情報発信を行いました。二日間の会議では、Annex89内に設けられた4つのサブタスクごとにセッションが設けられ、進捗報告や、評価期間、届出のタイミング、モジュールD(リサイクル・再利用)の扱い、炭素貯蔵やダイナミックLCAの是非などが議論されました。
日本では、2028年度以降を目途にWLC算定・届出制度の導入が検討されています。国土交通省を中心に「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」が設置され、制度設計が進められています。現時点では、欧州のような上限値規制には至っていませんが、国際動向を踏まえた包括的な管理体制の構築が進められています。
欧州では、国ごとに制度の範囲や内容が異なりますが、建築物のライフサイクルを資材製造、建設、使用、改修、解体、リサイクルといった各段階に分けて、それぞれに対して上限値の設定や気候宣言(届出制度)が進められています。たとえば、デンマークやフランスは建設段階から廃棄・リサイクルまで広く上限値を設けており、スウェーデンやノルウェーでは気候宣言を中心とした制度が導入されています。
IEA EBC Annex89は、建築物のWLCをネットゼロにするための国際共同研究プロジェクトであり、欧州を中心とした最新動向や制度設計の議論に加わっています。2025年11月にトロンハイムで開催された第5回全体ミーティングでは、日本として初めて対面で参加し、日本での取り組みやWLCに関する検討状況について情報発信を行いました。二日間の会議では、Annex89内に設けられた4つのサブタスクごとにセッションが設けられ、進捗報告や、評価期間、届出のタイミング、モジュールD(リサイクル・再利用)の扱い、炭素貯蔵やダイナミックLCAの是非などが議論されました。
日本では、2028年度以降を目途にWLC算定・届出制度の導入が検討されています。国土交通省を中心に「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」が設置され、制度設計が進められています。現時点では、欧州のような上限値規制には至っていませんが、国際動向を踏まえた包括的な管理体制の構築が進められています。

[講師]
早稲田大学 創造理工学部 建築学科
講師
新藤 幹 氏
早稲田大学 創造理工学部 建築学科
講師
新藤 幹 氏



