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1.英国におけるCO2排出量削減の枠組み

2.広域都市圏にみる排出量削減の方法―大ロンドンの取り組みに着目して─

3.開発事業に求められること─行政が民間に何を求めるか?─

4.分散型エネルギーネットワークのための公共と民間の関係

5.今後官民連携で考えるべきことは何か?

パネルディスカッション

フリーディスカッション



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(図49)
ここのビジネスはこんな感じです。バーミンガム市とCofelyが25年間の協定を結んでいます。ここもやはりエネルギーセンターは土地がただです。ただでエネルギーセンターができて、ここにプラントが置かれ、建物が接続する。熱料金を下げるために売電をし、なおかつここも公的建物等がありますから、顧客が必ず存在する。新規の建物については、全部開発協議を通じて、熱導管を接続しないと許可されませんよという形で、民間にとってビジネスが絶対に成り立つような状況をつくり上げてきています。
(図50) 
ここで、皆さん、おわかりになっていただけたかと思いますが、行政側はお金を一銭も払っていないんです。公共の空地を提供し、開発が起きたときに熱導管への接続義務を公共側が仕組みとしてつくってあげているだけ。民間側は、土地をただで借りて、お客が来る状況をつくってもらえているので、ビジネスが成り立つ。こうして、公共にとってのCO2の排出量削減という目標も達成できて、民間にとってもお客がたくさん来ることも達成していることが、すごく大きな特徴なのかなと思います。
(図51)
この間のロンドンオリンピックをやったオリンピックのサイトです。ここも官民連携型で開発されました。
ここは非常に大きく熱供給をやっています。開発用地が全部で246ヘクタール。ここにはOlympic Delivery AuthorityとStratford City development、Cofely East London Energyというところがコンセッション方式でエネルギーセンターがつくられています。40年間の運営管理という契約です。投資金額も非常に大きい。面積が広いので、1億1300万ポンドがかけられています。
ここはイギリスで最大級のウエストフィールドというショッピングセンターがあって、そこにもエネルギーセンターをつくっています。選手村、オリンピックエリア、ショッピングセンターの246ヘクタールに対して熱供給事業を行うという計画です。
(図52)
オリンピック終了後、現在いろいろなものが取り壊されたり、改善されたりしながら、オリンピックの計画から一般利用の新規計画の移行期間にあります。地域に熱供給をしていく状況はこれから先も変わることなく進んでいくことになります。
(図53)
ここは3つの組織が一緒になりながら、コンセッション方式でCofelyと40年間契約を結んでいます。40年間、ここではこの会社が熱供給をしていくことになります。Cofelyは自己資金を使ってエネルギーセンターをつくり、ここもやはり売電で熱料金を下げることがやられています。このエリアの中の建物は全部熱導管に接続しなければいけないという決まりの中で、お客さんは絶対いるということになります。市にとっても、CO2の排出量削減という目標が必ず達成できるので、非常に喜ばしいプログラムになっている話です。
(図54)
ジョイントベンチャー型。これはウォーキングという10万人ぐらいの都市です。
ここは市とエネルギー事業者が一緒になってESCOの設立をしています。人口10万人なので小さいですが、最初は公共の9建物に対して熱供給をし、電力については行政の建物だけで使われています。
(図55)
エネルギーセンターを見に行くと、エンジンが外から見えるようになっていて、日本だと余りないなと思いました。
(図56) 
ここはジョイントベンチャーをまずつくって、ESCOを設立し、このESCOがエネルギーセンターの運営管理を行っています。余剰電力はグリッドに逆潮流します。市役所とその他の公的な建物に熱導管で接続し、新規の建物も同じように接続されています。
(図57)
先ほどお見せしたキングスクロスです。ここも同じような仕組みになっています。ここは民間主導型ですが、25ヘクタールで、オフイス、商業、住宅、大学のミクストユースです。2005年比のCO2の排出量削減が50%ということで、すべての建物は熱導管に接続しなければいけないことになっています。
これはヒアリングした時に、担当した人に、「エネルギーセンターつくって、どうして全部建物につながっているの」と聞いたら、「自分たちには何の選択肢もなかったから。接続しないと開発が許可されないので、全部やらざるを得なかった」というふうに回答されました。
(図58)
エネルギーセンターはキングスクロスに1機だけですが、4メガのイエンバッハのエンジンが入っていて、来年あと2機入るというお話でした。
(図59)
今こんな感じに開発が進んできている状況です。
(図60)
ここは土地所有者が、London & Continental Railways LtdというところとDHLで、これらの企業と全体的なコーディネートをするArgentという会社が一緒になって、kings Cross Central Ltdパートナーシップというものをつくっています。このArgentという会社が地元の行政体であるカムデン区25ヘクタール全体の開発許可の申請をする。条件つき許可として熱導管に全部接続しないといけない。こういうことが決められます。全部つながればカムデンにとってはCO2の排出量削減の目標が大きく達成されることになります。
熱導管に接続されているということはESCO、エネルギーセンターをつくらなければいけないということなので、エネルギーセンターをESCOが設立させて、ここにコジェネのプラントが入れられます。この土地も、ここから無償で提供されており、コジェネのオペレーションはVital Energyというところが10年間の契約をして、ここも売電で料金の低減をしています。
(図61)
マンチェスターです。マンチェスターはメディア・シティというところが非常におもしろいんです。ここは民間企業が全部土地を持っていて、そこで開発をするという事例です。

 

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