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働き方改革!モチベーションが高まるオフィスの実現をめざして -「NSRI ワークプレイススコア」の開発

日建設計総合研究所(NSRI)では、いつでも、どこでも、誰とでも、活動に適した場所で働くことができるABW(Activity Based Working)を取り入れた新しい働き方に挑戦しています。2020年には、東京オフィスをリニューアル。オフィスリニューアルを機にワークプレイスを定量的に評価する独自の指標「NSRI ワークプレイススコア」を開発しました。オフィスのリニューアルや評価指標の開発に携わっている近藤主任研究員と鶴見研究員に話を聞きました。

ABWを取り入れたオフィスリニューアル

近藤: 働き方改革につながるオフィスリニューアルの成功には客観的な助言が有効と考え、ABWの創設者Veldhoen + Company社のサポートを得て「NSRIのありたい姿」の明確化から検討を開始。それを実現するために必要な「働き方」「ワークプレイス」「IT環境」などを所員のワークショップを通じて具体化していきました。成功の鍵は意識改革と行動変容です。現状の働き方分析を基に目指すべき働き方の実現に向けた意識改革と望ましいふるまいを実践する行動変容を促す取組みを現在も進めています。

鶴見: ABWは働く場所や時間を、活動の種類によって自由に選べる働き方です。「個人の集中作業」「複数人でのアイデア出し」「リラックス」など、活動を10種類に分類し、最も生産性が高く働けるよう活動に適した場所を用意し、所員が働き方を自らデザインします。エチケットなどを定期的に見直すなど「モチベーションが高まるオフィス」※として改良を続けています。

モチベーションが高くなるオフィスを評価する「NSRI ワークプレイススコア」の開発

中島:  ABWを実践し「モチベーションが高まるオフィス」の実現に取り組むとともに、ワークプレイスを評価する指標を開発したということですが、詳しく教えてください。

近藤: NSRIではエビデンスベースドを大事にしています。自分たちの体験も踏まえてモチベーションが高まるオフィスの実現に必要となる要件を定量化するKPIを整理し、「NSRI ワークプレイススコア」という評価指標を開発しました。

鶴見: 「NSRI ワークプレイススコア」は、空間利用や働き方に関するアンケート調査を基に9つのKPIで、ワーカーの働き方も含めてワークプレイスを定量評価します。オプションとして企業独自の重点KPIを加えることも可能です。

中島: なぜモチベーションに焦点を当てたのでしょうか。

近藤: 気持ちの良いオフィスではモチベーションが高まりますよね。調べてみるとモチベーションがワーカーの知的生産性とエンゲージメントの向上に寄与し、結果的に経営層が求める事業性向上につながることがわかってきました。そこで、モチベーションに影響する要因を定量評価するシステムの構築に取り組むことにしました。

中島: 企業によって働き方が異なると思いますが、どのように評価するのでしょうか。

近藤: 働き方や空間の使い方の考えは企業によって異なります。そこで、評価を実施する前にヒアリングで活動の種類とオフィス空間の種類および活動に適した空間などを確認します。アンケートを基に各活動の重要度、活動と空間のマッチング、活動を阻害する要因などを分析し、「NSRIワークプレイススコア」の9つのKPIで定量評価します。すると、評価結果から各企業のワークプレイスの課題が見えてきます。

※「モチベーションが高まるオフィスの実現に向けて」 NIKKEN JOURNAL 56、2023 Autumn、P18
NSRI ワークプレイススコアのKPI
アンケート調査

「NSRI ワークプレイススコア」の活用の仕方

鶴見: 「NSRI ワークプレイススコア」の評価結果でよく課題にあがるのが集中作業の阻害要因です。席近くのWEB会議が気になるなど音に関する課題が多いです。NSRIでもリニューアル後にゾーニングの変更を行いました。「NSRI ワークプレイススコア」は、リニューアル設計の要件整理や、リニューアル後に設計時に想定していた利用方法が実現しているかの確認にも活用できます。NSRIを含め現在数社でこの評価の有効性を確認しています。

中島: 設計時点で想像していた働き方とのミスマッチも出てくるかと思いますので、継続的に改善していくことが大事ですよね。

近藤: そうですね。現状を知り、課題をどう解消していくべきかを検討する必要があるため、継続的にアンケートを実施していくことが望ましいと思います。目指している働き方を実現するために改善や教育を続けていくことが重要です。

中島: NSRI のオフィスリニューアル前後に「NSRI ワークプレイススコア」を用いて評価しましたが、結果はどうでしたか?

近藤: 9つのKPIのほとんどの項目でスコアが上がりました。特に「活動適合性」や「帰属意識(オフィスへの誇りなど)」の評価が大きく向上しています。一方、「健康」については、建物共用部(リニューアル未実施)の評価項目が多いこともあり改善効果がみられませんでした。今後は、定期的にアンケートを実施し、評価指標の妥当性を念頭におきながら、現状把握と改善を続けていきたいです。
ワークプレイス総合評価

今後の展開について

中島: 今後の展開を教えてください。

近藤: 開発した評価指標「NSRI ワークプレイススコア」について、9つの指標別にリニューアルの効果や更なる運用上の課題などを定量的に示せることが確認できました。

今後は、日建グループのワークプレイス関連のプロジェクト等での活用を含め、より多くのクライアントのワークプレイスの改善に役立つ機会を増やしたいと考えています。

中島: うちのオフィスでも「NSRI ワークプレイススコア」で評価してみたい、という方がいらっしゃいましたらぜひご連絡を!という感じですね(笑)。

近藤・鶴見: はい。ぜひよろしくお願いします。
左:近藤 武士、中:鶴見 隆太、右:中島 侑江

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