
日建グループは、地方の災害対応力や稼ぐ力を高めるために、「自立融通まちづくり」の検討を始めました。フィールドワークや地域の人々との対話を通じて、地方が抱えるリアルな課題や潜在的なポテンシャルを確認し、具体的な方策の提案に繋げることを目指しています。三浦半島(神奈川県三浦市)でのフィールドワークについてご紹介します。
三浦市の産業と人口動態
三浦市は神奈川県の三浦半島の最南端に位置し、漁業や露地野菜などの一次産業を基幹産業とするまちです。三浦市の人口は、1994年の約5.4万人をピークに減少が続いており、2025年現在では約3.8万人となっています。国立社会保障・人口問題研究所によると、2045年には約2.6万人とピーク時の半分程度となり、老年人口割合は55%に達すると推計されています。
三浦市の自立ポテンシャル(統計データから)

三浦市の土地利用を見ると、宅地面積率は約16%。市街地は鉄道駅周辺や幹線道路沿道、沿岸集落などにコンパクトに集積しています。一方、耕地面積率は約37%(全国平均11%)と高く、農業用の土地資源が非常に豊かな地域です。ただし、生産物は野菜が中心であり、高カロリーな穀物や畜産物は限られています。また、農地開拓の影響で山林面積率は約18%(全国平均約66%)にとどまり、上水は市外の相模川から引水しています。こうした状況から、食や水の観点で自立性を高めるためには、水源となる山林の育成や農業生産物の転換など、長期的な視点での取り組みが必要と考えられます。
リアルな課題「地域産業の担い手不足」

漁港の視察では、漁業を営む方から現状について直接お話を伺いました。後継者不足による廃業が後を絶たないこと、近年の海水温変化による魚種の変化など、漁業を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。また、漁港付近には廃業後に放置された漁網なども確認しました。一方で、三浦市や水産庁は漁獲量が減少する中で「海業」の振興を進めています。養殖業の拡大・観光業との連携・ブルーカーボンによる副収入の獲得などにより、海業の「稼ぐ力」を高め、次世代の就労を促すことの重要性を改めて確認しました。
再生可能エネルギーのポテンシャル

三浦市南東部では、風力発電施設を見学しました。さらに「三浦バイオマスセンター」では、農産物や水産物の残渣から生み出されるメタンガスを活用し、コージェネレーションシステムを稼働させています。これにより電気と熱を供給するとともに、堆肥の生産・販売も行われています。加えて、広大な農地を活用した営農型太陽光発電の導入も考えられます。こうした取り組みから、地域の土地利用や産業特性を生かした「自立」や「循環」に、エネルギー面で大きな可能性を感じました。
「自立融通まちづくり」に向けて
三浦市において、現地を巡り地域の人々の話に耳を傾けることで、地域産業を支える自然資源や人材の重要性を改めて確認をすることができました。
現地のリアルな課題に真摯に向き合い、地域のポテンシャルを発見・開拓し、日建グループの専門性と掛け合わせながら、地方の活力を高めていくプロジェクトの提案や実装に取り組んでいきたいと考えています。
現地のリアルな課題に真摯に向き合い、地域のポテンシャルを発見・開拓し、日建グループの専門性と掛け合わせながら、地方の活力を高めていくプロジェクトの提案や実装に取り組んでいきたいと考えています。



