
日建設計総合研究所(NSRI)は国土交通省 都市局 都市環境課による「まちづくりGX(グリーントランスフォーメーション)」推進のためのロードマップづくりや、普及啓発資料の作成支援に取り組んできました。都市分野における脱炭素まちづくりを目的とした本業務のポイントについて、久保 夏樹 研究員と、岡垣 晃 技術顧問に話を聞きました。
まちづくりから始まるGX
植田: 今回の業務では、都市政策分野における脱炭素まちづくりの推進がテーマになっています。そのための普及啓発ツールとして、冊子「住みやすい都市を気候変動対策でつくっていくためのアクションプラン」の作成を支援されましたが、取り組みの背景について教えてください。

久保: 都市環境課は、2024年7月に国土交通省都市局に新設されました。この課では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、都市と環境の関係を捉え直し、都市分野から脱炭素化に貢献する政策の企画・立案を担っています。
日本の温室効果ガス(GHG)排出量の約50%は都市活動に起因しており、脱炭素社会の実現には、都市構造や人々の活動のあり方そのものを見直すことが求められています。本業務では、従来の都市計画、市街地整備、まちづくり推進などの都市分野の施策と脱炭素化をどのように結び付け、一体的に推進していくかが大きな課題となっていました。 こうした課題意識のもと、都市環境課では、環境とまちづくりの融合や、行政・民間の人材の交流・育成を促す『GX Creation Meeting』を開催しており、私も初回から参加しています。
日本の温室効果ガス(GHG)排出量の約50%は都市活動に起因しており、脱炭素社会の実現には、都市構造や人々の活動のあり方そのものを見直すことが求められています。本業務では、従来の都市計画、市街地整備、まちづくり推進などの都市分野の施策と脱炭素化をどのように結び付け、一体的に推進していくかが大きな課題となっていました。 こうした課題意識のもと、都市環境課では、環境とまちづくりの融合や、行政・民間の人材の交流・育成を促す『GX Creation Meeting』を開催しており、私も初回から参加しています。

岡垣: 省エネや、化石燃料から自然エネルギーへの転換など、脱炭素を進める方法はいくつかありますが、まちづくりの中で脱炭素化を実現する方法として重要なのが「エネルギーを使う仕組みそのものを変える」ことです。街区におけるエネルギーの面的利用や、都市機能を中心部に集約することでエネルギーを効率よく使っていく、コンパクトシティがまさにそうですね。
こうしたコンパクトシティや再開発などの動きが起こると再エネ導入や省エネ化など、エネルギー削減を考えるきっかけが生まれます。つまりまちづくりと環境は切り離せないのです。
まちづくりと環境を一体で捉える思考は、例えば90年代半ばに登場した「ファクター4」にある「豊かさ2倍、生活の質2倍、それと同時にエネルギーを半分に」という考え方に見出すことができます。そうした意味でも、都市計画と脱炭素をセットで考えることが大切だと思います。
こうしたコンパクトシティや再開発などの動きが起こると再エネ導入や省エネ化など、エネルギー削減を考えるきっかけが生まれます。つまりまちづくりと環境は切り離せないのです。
まちづくりと環境を一体で捉える思考は、例えば90年代半ばに登場した「ファクター4」にある「豊かさ2倍、生活の質2倍、それと同時にエネルギーを半分に」という考え方に見出すことができます。そうした意味でも、都市計画と脱炭素をセットで考えることが大切だと思います。
都市と環境をつなぎ、脱炭素のビジョンを描く
岡垣: 今回の業務でNSRIに求められたのは、脱炭素化に向けた方策を提示すること、CO₂削減量を定量的に示すこと、そして、その実現に向けたロードマップを提示することでした。これに対し、NSRIの強みを生かして、都市・環境の両部門を横断するプロジェクトチームを組成しました。環境部門が持つエネルギー需給に関する知見やシミュレーション技術と、都市部門が持つ都市計画・エリアマネジメントに関する知見やプレゼンテーション技術を結びつけることで、成果をパンフレットにまとめることができたと思います。


植田: 専門性の高い内容がイラストを交えて説明されていて、かつ「中心市街地」や「住宅地」などのエリアごとに施策がパッケージされているので非常に分かりやすいと感じました。
久保: 今回は市区町村の都市部局に向けた普及啓発が目的だったので、普段実施しているコンパクトシティ政策、ウォーカブル推進、リノベーションまちづくりなど、都市政策の中で脱炭素化をどのように盛り込めるのかを、都市の将来像や具体的なアクションを喚起しやすいかたちで整理しました。
パンフレットでは、「なぜ脱炭素まちづくりが必要なのか(Why)」、「どのような方法で進めるのか(How)」、「具体的に何を実施すればよいのか(What)」を整理しています。例えば、脱炭素社会を実現するためには、火力発電を中心とした集中型エネルギーインフラから、太陽光や風力などの再エネを主力とする自立分散型のエネルギーインフラに転換していく必要があります。天候によって発電量が変動する再エネを有効に活用するためには、まち全体で電力の需要と供給を調整することが重要です。そのため、地域内で電力を融通する電力グリッドの構築や、電気自動車の蓄電池を活用した需給調整など、まちづくりとエネルギー施策を一体的に進めることが求められます。
パンフレットでは、「なぜ脱炭素まちづくりが必要なのか(Why)」、「どのような方法で進めるのか(How)」、「具体的に何を実施すればよいのか(What)」を整理しています。例えば、脱炭素社会を実現するためには、火力発電を中心とした集中型エネルギーインフラから、太陽光や風力などの再エネを主力とする自立分散型のエネルギーインフラに転換していく必要があります。天候によって発電量が変動する再エネを有効に活用するためには、まち全体で電力の需要と供給を調整することが重要です。そのため、地域内で電力を融通する電力グリッドの構築や、電気自動車の蓄電池を活用した需給調整など、まちづくりとエネルギー施策を一体的に進めることが求められます。

植田: このパンフレットを契機として、全国に脱炭素まちづくりの機運が広がっていくことを期待したいですね。
脱炭素でより魅力的なまちへ、自治体との協働も

植田: 都市と環境双方の専門性を持つNSRIですが、脱炭素とまちづくりに関する今後の展望はありますか。
久保: このパンフレットは国土交通省を通じて一般に公開されています。今後は、パンフレットをきっかけに自治体が行動を起こそうとする際に、「自分たちのまちで何ができるのか」という具体的な施策の検討まで支援していきたいと考えています。実はすでに複数の自治体へ提案を行っており、多くの前向きな反応をいただいています。特に、エリアごとの特性を踏まえたカーボンニュートラル施策を具体化したいという声もあり、こうした自治体の検討や実践を支援する業務に挑戦したいですね。
2050年のカーボンニュートラル達成は重要な目標です。しかし、CO2削減だけが最終目標ではなく、脱炭素対策を通じて、より暮らしやすく豊かで魅力的なまちを実現することが大切だと、この業務を通じて学びました。今後もそうした視点を大切にしながら、実際のまちづくりに取り組んでいきたいです。
久保: このパンフレットは国土交通省を通じて一般に公開されています。今後は、パンフレットをきっかけに自治体が行動を起こそうとする際に、「自分たちのまちで何ができるのか」という具体的な施策の検討まで支援していきたいと考えています。実はすでに複数の自治体へ提案を行っており、多くの前向きな反応をいただいています。特に、エリアごとの特性を踏まえたカーボンニュートラル施策を具体化したいという声もあり、こうした自治体の検討や実践を支援する業務に挑戦したいですね。
2050年のカーボンニュートラル達成は重要な目標です。しかし、CO2削減だけが最終目標ではなく、脱炭素対策を通じて、より暮らしやすく豊かで魅力的なまちを実現することが大切だと、この業務を通じて学びました。今後もそうした視点を大切にしながら、実際のまちづくりに取り組んでいきたいです。
岡垣: 国土交通省が掲げた「まちづくりGX」は、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換とまちづくりを掛け合わせたものです。そもそもなぜ、まちづくりと脱炭素化の間に距離があったのかと言えば、まちづくりには「地域を活性化させる」「人口減少を食い止める」など多くの課題が山積していて、エネルギー施策の優先度が低いことが要因の一つでした。ですが、気候変動が人々の生活に直結する課題として深刻化している現状を考えると、脱炭素化は極めて優先度の高い施策になっているのです。まちづくり担当者が環境を「自分ごと」として捉え、まちづくりの中で常に環境にも思いをめぐらせることが重要と考えています。
植田: 脱炭素をまちづくりの一つひとつの施策に結び付けていくことが、より暮らしやすく魅力的な都市の未来につながるのですね。このパンフレットが、全国の自治体が具体的な一歩を踏み出すきっかけになることを期待しています。
植田: 脱炭素をまちづくりの一つひとつの施策に結び付けていくことが、より暮らしやすく魅力的な都市の未来につながるのですね。このパンフレットが、全国の自治体が具体的な一歩を踏み出すきっかけになることを期待しています。






