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1.メディアの会社で考えたこと

2. メディアは魔法の絨毯のようだ

3.メディアはプロジェクトを動かすドライバーにもなる

4.ささやかでもメディアと現実をつなぐ場の発見

5. メディアに流通/不動産をくっつけたことによるダイナミズム

6.リノベーションの一般化・社会化

7.公共住宅をいかに自由にするか

8.TOOL BOX 住み手に委ねるための空間とシステム

9.エリアコンバージョン 点から面へ/都市計画の方法論

10.イベント(非日常)が次第に日常に還元されていく

11.「新しい郊外」の発見

12.3.11で考えはじめたこと



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(図80)
 3月2日オープンなので、編集の家という空間を今まさに工事しています。8個のパビリオンができて、そのうちの1個がTSUTAYA&R不動産のチームがつくります。
今マンションのストックが日本に600万戸ぐらいあります。僕らが相手にしたいのは、この巨大な可能性です。みんな決められた空間に住んでいます。80平米を800万円でつくれないかという仮説で空間をつくっています。頑張れば手が届くかもしれない金額。間取りの再編集を課題にしてみました。今までは機能によって間取りが全部決まっていたけれども、モードによって、気分によって、定性的なことによって間取りを再編集できないかという仮説です。
まず、ビデオやテレビをダラッと見るリラックスした状況はどんな状況だろう。リビングとバスルーム、それが一番ダラッと見たい瞬間なのではないか。だったら、風呂場とリビングを合体させてみよう。バスタブとソファが並んでいます。
(図81)
家族が集まっていろいろ作業する空間はどこかな。案外ダイニングテーブルなんじゃないか。お父さんもそこでパソコン打っている、宿題もそこでやっている。だったら巨大なダイニングテーブルがあって、それがキッチンと一体化してみんなが集える大きいテーブルになった瞬間に家族はもっとつながるのではないか。キッチンとデスクを合体させました。
(図82)
個室と押し入れ。個室は最小限の押し入れのような空間でいいよね。お父さんの部屋は巨大な犬小屋のような空間でいいんじゃないか。落ちつくところは、トイレと本棚、書斎を一緒にして、トイレの壁全面本みたいなこともあり得るのではないか。モードに全部再編していく。壁を分厚くして全部収納にしよう。
(図83)
80平米の再編集した間取りです。機能ではなくてモードによって、気分によって再編集した間取りというものを実際につくっています。80平米800万円です。
何を言いたいかというと、プランは自由だ。自分の空間を自分で再編集しよう。その可能性を見せたい。決められた間取りに家族が合わせて住むのではなくて、家族の価値観に間取りが合う可能性を見せてあげよう。これを見た後にtool boxの全商品が並んでいて、自分の空間を自分で編集しましょう、となっています。編集の家というテーマになっています。 家は商品ではなく自分でつくるものだということを伝えたい。
(図84)
これはウエブサイトのコピーです。伊東豊雄さんとリクシルさんがコラボレーションしたり、坂茂さんと無印良品さんがコラボレーションしたりという豪華なメンツの中になぜかTSUTAYAと東京R不動産が、仲間外れのようにポッといますが、そういうメッセージをやっています。

エリアコンバージョン 点から面へ/都市計画の方法論

(図85)
点のコンバージョン、空間のコンバージョンをずっとやってきたわけですが、次にエリアコンバージョン。要はまちづくり、都市計画のほうに意識が向く瞬間がありました。点から面へ、都市計画の方法論です。点的な建築、それが面、町へ広がっていきました。
(図86)
これはまだうまく伝え切れてないんですが、アクティブな点はネットワーク化し、いつの間にか、面、町に広がっていく。僕が体験したことは、セットエリアと呼んでいます。冒頭に、うちの事務所が神田の裏通りに引っ越してきたとお伝えしたと思いますが、僕らは10年間、そこの空き物件を使っていろんなトライアルをしました。神田の裏通りあたりは問屋街で、東京駅からタクシーでワンメーターぐらいであるにもかかわらず空き物件がたくさんありました。うちの事務所もその1つでした。そこで思いついたのが、ニューヨークのDAMBエリアで見てきた空き空間を使ったゲリライベントです。俺たちもやってみようということになり、日本橋と神田のビルのオーナーさんに頼み込んで、「2週間だけ、空き物件をただで貸してください、お金は払いません。でも、いろんな人が見に来るから、それが埋まるかもしれないじゃないですか」と言って、説得して回ります。アーティストたちに「銀座でギャラリーを借りると、1週間で10万円も20万円も取られるよね。ただだよ」と言って呼んできます。
空き空間とアーティストをマッチングして、町全体をギャラリー化するというイベントを10年間続けるわけです。このエリアの空き物件30カ所ぐらいを何とかゲットする。「物件が決まるかもしれないじゃないですか」と言っている手前、頑張らなければいけないので、その空き物件を全部東京R不動産に載せていったわけです。そして、アートマップをつくって、お客さんは、その地図を片手にオリエンテーションのように、アート作品を見て回れる。裏通りの見知らぬ町を見て回れる、そして同時に物件まで見て回れるという3つのメリットがあるイベントにして、それを続けます。

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