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1.メディアの会社で考えたこと

2. メディアは魔法の絨毯のようだ

3.メディアはプロジェクトを動かすドライバーにもなる

4.ささやかでもメディアと現実をつなぐ場の発見

5. メディアに流通/不動産をくっつけたことによるダイナミズム

6.リノベーションの一般化・社会化

7.公共住宅をいかに自由にするか

8.TOOL BOX 住み手に委ねるための空間とシステム

9.エリアコンバージョン 点から面へ/都市計画の方法論

10.イベント(非日常)が次第に日常に還元されていく

11.「新しい郊外」の発見

12.3.11で考えはじめたこと



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(図42)

 

 

 

 

 


これが今どうなっているかというと、こうなっています。ビフォー、アフター。同じ空間です。

(図43)
靴屋さんのショールーム兼オフィスになっています。この靴屋さんのデパートのインテリアデザインをしていました。「青山にオフィスがあるんだけど、高くて、狭くてね」と言っているので、「ちょっと待ってください。すごくいいオフィスがあるんです」。その場でタクシーにバンと乗せて、倉庫に連れていって、「ここ、どうですか」と言ったら、最初はキョトンとされましたが、「冷静に考えてください。ここをオフィスにすると、家賃は青山と一緒ですよ、この面積です、この環境ですよ」と、プレゼンしていくと、「それもありだな」と言ってくれて、こういう空間をつくります。ガラスのキューブの中だけ空調をしています。外は風がフーッと通り抜けます。今はさすがにガラスのキューブの中で仕事をされていますが、1年の3分の2ぐらいは気温がよくて、外でミーティングしたり、仕事をしたり。フラフラ動くように仕事をされています。
(図44)
靴屋さんなので、ここの土間で靴を脱いでポンと上がります。プレスルームを兼ねているので、ちょっと試足したりということはすごく自由です。
(図45)
あの外の席でミーティングすると、すごく盛り上がってうまく進むらしいですよ。契約率が高いと言っていました。いい空間は人間をポジティブにするんです。確かに気持ちいいです。
(図46)
これは新商品発表会のときの風景です。いつもはどこかの会場を借りていたんですが、自分のオフィスに人を呼んで、DJまで入れてでかいプロジェクトでパンと新商品発表会を、スティーブ・ジョブズのように社長がやられていました。「これをやりたかったんだ」と。これだけでも物すごい経費削減だとおっしゃっていました。何百万かかっていた会場費が家賃でいい。
(図47)
このときに提案したのは、「倉庫の空間的なリノベーションでもあるんですが、働き方自体のリノベーションです」ということです。この企業の靴の理念がカンファタブルとか環境にいい、人に優しいというコンセプトなので、それを体現したような空間にしましょうよと言いました。それがオフィスならそこに人も呼べる。空間自体がその企業の企業姿勢をあらわすことができるブランドにもなるということを説明して、それはすごく理解していただけました。ここではすごく自由に仕事をしています。仕事をするオフィスが必ずしもこんなふうにビルの中のある一定の天井の中の画一した空間である必要はなくて、特に気持ちよさとか、楽しさというものを考える発想はそういう空間でこそ生まれるのではないかと思っています。組織も働き方も働く空間も、リノベーションしていいのではないか。この倉庫のリノベーションと働き方のリノベーションと2つの側面がこのプロジェクトでは体験できたなと思っています。
(図48)
これは一昨年のTABLOIDというプロジェクトです。浜松町の先、日の出桟橋のところにある夕刊フジを印刷していた印刷工場です。産経新聞社さんが持っています。これが7年近くあきっ放しになっていました。それは仕方ない。中を見ると印刷機の配管があって、おまけに輪転機置き場があって、巨大な輪転機がドンと置いてあって、倉庫にもできない。床を張った瞬間に増築になってしまうので、それもできない。この輪転機置き場が活用を阻害していました。
あらゆる企業は、壊してマンション、壊してオフィスという提案をしたんですが、投資数十億円した結果、あの場所で本当に埋まるのか。僕は見た途端に1人で騒いでいるんです。「カッコいい」とか言って1人で興奮しているような状態でした。都会の真ん中に4層吹き抜けのシュールな空間があるという感じでプレゼンしました。
(図49)
タブロイド版が印刷されていたので、その物語りを継承すべく「TABLOID」という名前にしました。今このビルはカフェ、スタジオ、オフィス、そういう複合施設として用途変更されています。

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